青い花 第5話「嵐が丘 前編」が面白い


短めにメモ。青い花 第5話「嵐が丘 前編」で気になったことをいくつか。急いで書いたので誤字脱字が多いかも・・。


視線を誘導させられることが多かった回。


構図


・対象(人物)を中心に置かずにずらす。

 杉本がポスターを書いてくれた後輩と会話するシークエンス。画面左に杉本、画面右に後輩の女の子を。二人を寄らせることによって、二人の会話してる感が強調されてるなぁ、なんて思ったり(図1)。

図1


 「先輩を疑っているの」とあきらに打ち明けるふみ、「えっ」とあきらは少し驚く、その直後の二人を捉えたカット。それと、「気にしなくていいのよ」と井汲が言った後で、あきら井汲が星の王子さまを鑑賞しているカット。人物達が中心からずれているので、視線が自然と人物に注目してしまう。それに加え、どこか寂しげで印象的。

図2


・強烈というか、いやでも注目してしまう井汲と杉本のシーン。窓から入った光の中に井汲と杉本がいるので、視線が半ば強制的に二人に向く(図3)。杉本から後ろを向いて、全く目を合わせない井汲(若干すねている)とそんな井汲を見続ける杉本。二人の関係性が如実に表れている。

図3


 あと気になったのは、影の枠によって、視線が井汲の目(顔の上半分)に誘導されるショット(図4)。次は杉本の顔全体に視線誘導される(図5)。視線を注目させた顔から二人の心情が伝わってくる。

図4                      
 
図5

 他にも結構気になるのがあった。杉本がふみの家に行く所とか。


画面分割

 ふみと杉本、ふみとあきらが電話で会話しているシーンで画面分割が使われている。分割された画面が上塗り(?)されていったり(適当な言い方が見つからない)、気になる部分が多かった。

 ふみと杉本の電話シーン。会話によってテンポ良く切り替わる画面、しかし井汲の話になった途端、急に画面分割が終わる。動から静へ。画面分割終了が重い話に切り替わる転換点に(図6)。あと、画面分割の時、ふみが杉本から目線を避けるようにしている。電話で話しているので、お互い離れているのに画面分割を使うことによって、実際に直接会って話しているように錯覚させることが出来ている(なので、実際にはありえない杉本から目を逸らすということが可能になっている)。杉本に言いたい事を言い出せなくて、杉本の視線を避けるふみの心情が画面分割によってうまく表現されている(図7)。

図6

図7

 あきらとふみの電話シーン。画面分割が始まる前、あきらが画面右(上手)に移動していきフレームアウトすると、画面右にふみがいるカットに切り替わる。移動するあきらを追っていくと、自然とふみに視線が移動する(図8)。画面右にいるふみ、画面左にあきらの画面が入ってきて画面分割が始まる。二人とも同じような態勢(ベッドに座っている)。似たような態勢だと二人は互いに見えていなくても意思疎通が取れてる感じがする?・・・。お互い離れた場所にいるのに、画面分割によってまるで向かい合って喋っているように見える(図9)。

図8

図9


 前に書いたけど、杉本とふみの時はお互いがちゃんと向き合ってなかったが、あきらとふみはお互いにちゃんと向き合っている。杉本とは違う、ふみとあきらの親密性がよく表現されている(図7と図9を参照)。

 杉本とふみ、あきらとふみの対比が良い感じ。

 あと、ふみの部屋の色とあきらの部屋の色がお互いの性格みたいなものを表していたり。画面分割によって、それがより際立つ(図9)。

コンテ・渦薪かい

 どう考えても変名だろう。もしくは、新人なのかどうか。でも、この完成度というか巧さは新人じゃ考えられない。それならば、一体誰なのか? 今回は、今までコンテをした、カサヰケンイチさん、長井龍雪さん、桜美かつしさんとは全く方向性(?)が違うものになっていると僕は思う、っていうか今までの「青い花」の雰囲気(路線)を無視したようなカット割りなような気がする・・・。今までは、ゆっくりと緩やかな感じ(テンポが)だったけど、今回は早い感じ。演劇祭前夜の慌ただしさを表現すると、こんなにアップテンポな感じになるのだろうか? まあ、今書いたことは全部印象論なので、確かなことでは全然ないんだけど・・・。

 う〜ん、どこからこの人物を引っ張ってきたんだろうか?


 それにしても「うずまきかい」ってどういう意味?

 
 追記 幾原邦彦さんですね。ご自身のブログを読めばなんとなくわかります。


他で気になった所


 他にも良いシーンがたくさんあった気がする。星の王子さまや、ふみのおさげに触れるあきらと杉本とか。

おまけ


 杉本とふみの足だけの描写から、ロングショットへと切り替わる流れが良かった(図10)。二人の顔を描写しなくなり(足からロングへ)、杉本とふみの二人だけの世界へと切り替わっていく。「ここからは、視聴者はこの二人の中に入ってくんなよ。お前らは足とか、遠くから覗いてろ」っていう感じが出ていた、ような気がした・・・。

図10