『けいおん!!』第10話「先生!」の高雄統子についてのメモ


 短めに簡単にメモ。


高雄統子と風船と連鎖


けいおん!!』第10話「先生!」 


 コンテ・演出/高雄統子


 Bパート。さわ子先生の高校時代の回想シーン。桜(花)を捉えたショットから、赤い胸花(花)→歩行者信号の赤→歩行者信号の青→青い風船→青空(鳥が飛んでいる)へとイメージは連鎖していく。最終的に回想の青空(過去)から現在の青空へと場面転換する。イメージの連鎖によってショットは繋がれていく。




涼宮ハルヒの憂鬱』第21話「涼宮ハルヒの溜息II」


 コンテ・演出/高雄統子


 Bパート。SOS団メンバーが部室にて映画撮影について会話するシーン。このシーンの最後は、キョンが湯のみを置こうとすると白いBB弾が湯のみの下にあり、それを指で弾く所で終わる。白いBB弾を弾くと、場面転換し、白い風船が飛び立っていくさまが捉えられる。キョンが自宅から出て集合場所へと歩いていると後ろに黄色い風船が飛んでいる。場面転換すると黄色い風船が飛んでいた画面上半分の所に、次はハルヒの黄色いリボンがある(本編ラストでは黄色いBB弾が登場する)。




 ここでもイメージの連鎖によってショット(シーン)は繋がれていく。


 高雄統子さんは、こういうイメージの連鎖を好んでいるようにみえる(イメージの連鎖自体に含意があるのかどうかは不明。個人的にはただ好んで使っているように思える)。このイメージの連鎖で使用されるのが、「風船」。『涼宮ハルヒの憂鬱』第21話、『けいおん!!』第10話と共に共通して風船は登場する。おそらく、風船の存在自体には意味はないだろう(風船は何かを象徴するものではないと思われる)。風船がどうこうではなく、ただ風船はイメージの連鎖の「蝶番」として使用されている(色で連鎖させたい時に使われるっぽい)。システマティックな役割を果たしていると云えるだろう。

 「風船」=「蝶番」。


 物語とはまったく無関係の連鎖・風船が登場するとき、否応無しに物語は解放される。


 それと、二つに共通する色の転換も気になる所(白から黄色へ。赤から青へ)。



 高雄統子さんのコンテ・演出回は全部視聴してきたが、『涼宮ハルヒの憂鬱』第21話「涼宮ハルヒの溜息II」しかすぐに思い出せなかった(エンドレスエイトでそれっぽいことしてたような気が・・。記憶違いかもしれん)。他のコンテ・演出回でもこういう事をやっているのかもしれない。『けいおん!』のコンテ・演出回ではやってなかった気がするが。次のコンテ・演出回でもあるのかな。