2013年を振り返って〜TVアニメベスト10〜


 去年に引き続き今年も挙げていきたいと思います。2012年放送開始でも、2013年に終了した作品は10作品の中に入れています。

俺の妹がこんなに可愛いわけがない。


俺の妹がこんなに可愛いわけがない。 1(完全生産限定版) [DVD]


 僕が今年のTVアニメ作品でもっとも衝撃を受けたのは、これでした。1期ほどの映像の切れはないけど(1期の時の川口敬一郎舛成孝二、吉村愛、喜多幡徹のメンバーがすごく良かった)、ストーリー展開が衝撃的。テレビ放映では、第13話で幕が下りたが、その後の第14話〜第16話で魂消た。ラブコメ作品で、ここまで描くのかと。TVアニメでは、兄と妹の恋愛を描いた『恋風』という作品などがありましたが、実の兄と妹が恋愛をしてしまうとどうなるのか。それは破滅的な終わりが待ち受けているのが多いのですが、この作品は違う。京介と桐乃は、自分たちなりに考えた結論に達する。それは、玉虫色の答えだったのかもしれないが、周りの者たちを不幸にさせないための答えであり、現実的な・誠実な答えだったと僕は思う。


 ラブコメ作品においての「どのヒロインを選ぶのか」という課題に対しても、京介の取った行動は正しい・誠実なものだったと僕は思う。未見の方は、ぜひ、第1期から第2期最終話まで、観てほしいと思います。ラブコメとしても傑作だと思うし、TVアニメとしても傑作です。



BROTHERS CONFLICT


BROTHERS CONFLICT 第7巻(初回限定版) [Blu-ray]


 『PERSONA -trinity soul-』、『閃光のナイトレイド』と硬派な作品を作ってきた松本淳監督の最新作がこれだと聞いて、驚いた。13人のイケメン兄弟と一つ屋根の下で暮らすという突拍子もない作品に松本監督かよ! と最初思ったが、これがまた面白かった。女性向けの作品だと思うが、男性が観ても面白い。軽快かつスタイリッシュなOPは、観ていて爽快。各話のオープニングにくる詩的な始まり方(少女漫画的な)も面白いし、幾原邦彦監督が参加した男性陣が踊るEDも良い(ちなみに同時期に放映された『Free!』EDでも同じように踊っていた)。


 ストーリー展開も、主人公が誰とくっつくのかと毎回気になるような話作りで、毎回飽きなかった(OPに誰と恋愛するのかは提示されているわけだが)。佐藤利奈さん演じる主人公も可愛いです。



さくら荘のペットな彼女


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 2クール作品なのですが、1クール目は傑作だと思います(文化祭まで)。2クール目は、話の盛り上がりが失速してしまってイマイチだったかなと。でも、良作であることは間違いないです。青春学園物として、よく出来ていると思います。王道です。

 監督にいしづかあつこさん。シリーズ構成は、岡田麿里さん。僕は、岡田麿里さんが作る青春物が好きで、どの作品にも自転車で疾走するシーンがあってそれが爽快で気持ち良いんですよね(「花咲くいろは」、「true tears」、「AKB0048」とか)。


 1クール目のEDへの入り方がすっごくかっこ良かった。鈴木このみさんが歌う「DAYS of DASH」のイントロがかかって、EDに入るという構成が、観ていてかなり盛り上がった。「DAYS of DASH」は名曲っす。


 第3話「近すぎて遠い…」、第4話「色を変える世界」、第8話「どでかい花火をあげてみろ」は見応えのある傑作回で、素晴らしかった。最終話「さくら荘へようこそ」での「DAYS of DASH」が流れ、全話を回想していくシーンも素晴らしいので、必見です。



げんしけん 二代目』


げんしけん二代目 壱(Blu-ray)


 「げんしけん」は今作も含めて、第3期まで制作されているのですが(OVAもあったが)、今作が一番面白い。水島努監督はすごい。この人にかかれば、大抵の作品は必ず面白くなる。クオリティも高いし、ストーリー構成も良い。一新された声優陣もこれまた良い。


 二代目では、男性向けだった前作から、女性向けの(BLとか)内容に変わっており、登場人物も女性メンバーがかなり増えた。波戸賢二郎のエピソード、斑目晴信と春日部咲とのエピソード、腐女子新入生のエピソードなど、全体として、それぞれのエピソードが巧くかみ合って、観ていて飽きない。巧くまとまった作品だなと思いました。現在のオタクネタにもちゃんとシンクロしていたり、細やかなところまで作り込まれていた。上坂すみれさんのOP曲も良い。



ガッチャマン クラウズ


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 「ガッチャマン」という既存のイメージとは、まったく別の路線の作品。当初はそのビジュアルから「つり球」を想起しました。作品の主義主張は置いといて、変身するときのかっこ良さや主人公の一ノ瀬はじめのキャラが好きだったので、挙げました。


 それに加えて、肌理細かい作りが好きでした。巧く伏線が張られていたり、登場人物の描写も細やかだった。例えば、一之瀬はじめは、普段敬語を使ってしゃべるのですが(「〜っす」とつけるだけだが)、母親と会話するときは敬語をやめるとか(携帯電話で母と会話するところ)。てっきり、はじめの敬語は口癖みたいなものかと思っていたらそうじゃなくて、他者に対する敬意としてちゃんと使っていたんだなとわかったりとか。細かいネタが結構あっておもしろかった。一ノ瀬はじめの人物像は、今年の作品の中で一番好きです。めちゃくちゃな言動で変な人間だと思われているけど、物事の本質を見抜けて、人を惹きつけるという人物像が良かった。


とある科学の超電磁砲S


とある科学の超電磁砲S 第8巻 (初回生産限定版) [Blu-ray]


 一期のような盛り上がりはないと思うが、それでも面白かった。「改革未明(サイレントパーティー)」編が特に面白かったです。バトル描写はどの作品よりも巧く仕上がっていると思うし、最終回付近のバトルは見応えがあった。「妹達(シスターズ)」編は冗長過ぎて、ちょっと退屈でしたが。



『俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している』


俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している 第5巻 [Blu-ray]


 主人公の「絶対選択肢」という奇妙な能力を巡るラブコメ作品。

 一切期待していなかった作品だったが、あまりのバカバカしさに夢中になった。金杉弘子さんは、今作が初めてのシリーズ構成だったのかな。


 キャラクターもバカだし、ストーリー展開もバカだし、ここまで徹している作品は、久しい。美少女、エロ、ギャグ、学園、変態などなど、B級感漂う作りはグッドです。

 第1話の選択肢のくだりでやられましたね。ああいう変わった作りは面白い。

 アフィリア・サーガさんが歌う「S・M・L☆」のOP曲も良いし、登場人物が逆立ちをするハイテンションOPも良かった。

 今年一番のくだらなさ満載スラップスティックを見逃すな。


銀河機攻隊 マジェスティックプリンス


銀河機攻隊 マジェスティックプリンスVOL.1(2大イベント抽選応募券封入)Blu-ray 初回生産限定版【ドラマCD付き】


 古臭いというか、なんというか。どこか懐かしい感じがする作品。どこか緊張感がない作りは、佐藤竜雄監督作品を想起させます。これといって、ストーリーやキャラクターに目新しさはなく、90年代後半・00年代前半の作品を見ているような感覚でした。キャラデザが平井久司さんだからですかね。

 でも、オレンジが手掛けるCGのロボットアクションは、目新しさがあった。バトル時のロボットアニメ的な表現、カメラアングルとか、元来のロボットアニメを踏襲しつつ、CGロボットバトルに昇華しているのは新しいなと思った(他の作品でも既に行われているが、TVアニメでここまで巧くまとまっているのは驚きだった)。

 登場人物のギャグ会話ものんびりとしていて、心地よかったです。



リトルバスターズ!』&『リトルバスターズ! 〜Refrain〜』


リトルバスターズ! ~Refrain~7 (EX二木佳奈多ルート第1話~第2話同梱) (初回生産限定版) [Blu-ray]


 『リトルバスターズ!』が始まっての小毬のエピソードは好きになれなかったが、その後の各ヒロインのエピソードと小話が良くて、視聴していた。それで、「Refrain」でぶったまげるわけで・・・。

 OPが素晴らしい。1期目のOP。登場人物たちが横一列になって走っていく。そして、白い鳥とともにパンアップして、藍い空をバックに「リトルバスターズ!」とタイトルが提示される。最高にかっこいい。「Refrain」のOPでは、理樹がナルコレプシーで眠ってしまったあと、その後どうなっていたのかが描写される。視聴者は理樹の主観で物事が進んでいくので、眠って、目覚めた後のことしかしらない。理樹が眠っている間は、どうなっているのか。それは、彼の仲間たちが理樹を背負って見守っていたのだ。理樹が仲間たちに支えられてともに生きているというのを端的に表すOPは、思わず涙が出てしまった。

 EDも素晴らしい。各話のタイトルが出るところが好きなんだなぁ。


 メンバーが揃った時、リトルバスターズの面々は、全員で集合した記念写真を撮影する。僕は記念写真というものを見ると悲しくなってしまう。それは、木下惠介監督の「二十四の瞳」で示されたように、記念写真というのは、別れの合図を示すものだからだ。皆の絆が紡がれた瞬間に撮られる写真、しかし皆がずっと一緒にいられるわけではない。必ず別れが訪れてしまう。記念写真と別離は表裏一体であり、どうしてもぼくは感傷的になってしまう。しかし、この作品では、その記念写真はまったく別の意味として登場するのである。


 「Refrain」での山川吉樹監督の鬼気迫る演出は必見である。


たまこまーけっと


たまこまーけっと (1) [Blu-ray]


 自社オリジナル作品の2作目であり、京アニの新たな一歩といえる作品。詳しくは後日書こうと思うので割愛しますが、未見の方にはオススメです。




 今年も良い作品がいっぱいありました。来年の作品も楽しみです。