true tears 最終回「君の涙を」

眞一郎と乃絵の関係は、本当に恋愛関係だったのか?まぁ恋愛関係じゃないから結ばれなかったのだろう。お互いにない魅力を持った、心で通じあう大切な人って感じかな。友情関係に近いかも。この世で最も純粋な関係は友情だって誰かが言ってたしな。

ラストで流した乃絵の涙は、眞一郎曰く大切な人を思うと勝手に流れる涙だったのだろう。それが真実の涙だったって訳だ。失恋からくる悲しみの涙ではなく、大切な人を思うと流れる純粋な涙。前向きなメッセージが詰まってるなぁ。ただ立っている乃絵の後ろ姿は何ともいえなかった。


全部を通しての感想は、比呂美の徹底したアンチヒロインぶりとリアルな女性像を描いていたのは見事だった。正ヒロインの乃絵は、不思議系で無条件に主人公を求めるという恋愛シュミレーションゲームのヒロインの要素を引き継ぐ現実には存在しない理想的な女の子だった。しかしアンチヒロインの比呂美は理想的な女の子ではなく、等身大の普通の女の子として描かれていた。わがままで誰かを傷付けたり、自分の気持を表に出さず、眞一郎が自分に振り向かなければ他の男になびく振りをしたり、眞一郎が乃絵に取られそうになったらすぐさま「私の男よ」と釘を刺したり、眞一郎を引き止めるためにセックスをしようと誘惑したりと、理想的でもなんでもない、ただ恋をしたそこらへんにいるただの女子高生として描かれていた。非現実的なヒロイン乃絵と現実的なヒロイン比呂美の対比が物語をドラマティックに仕立てあげていた。

秀逸なカメラワーク、絵本中の様な画面の外を白くぼやかして紙の質感を出した背景、水彩画の止め絵、大映ドラマ的ストーリー展開等、どれをとっても印象に残るアニメでした。