2014年を振り返って〜TVアニメベスト8〜を選んだ理由について

 前の記事で書かなかった8作品を選んだ理由を書いていきます。


凪のあすから

凪のあすから 第1巻 (初回限定版) [Blu-ray]




 『true tears』、『花咲くいろは』と並ぶP.A.WORKSの傑作作品だと僕は思います。


 岡田麿里さんの脚本も、篠原俊哉監督も素晴らしかった。


 第1部と第2部で構成された2部構成になっており、その両方で描かれたのは、分断された者たちの融和だ。海と陸とで分断された者、5年という時間で分断された者。分断され、交わりのない、停滞した世界で、少年少女たちは悩みながらも、少しずつ前に進み、停滞した世界(凪の世界)を変えていくことになる。


 まなかと紡が出会うことによって、この物語は始まるが、それは彼と彼女の運命的な出会いというものではなく、海と陸が出会った瞬間であり、その海と陸の出会いにより、光と美海、ちさきと紡、要とさゆたちは交流していくのだ。


 岡田麿里さんの描く登場人物たちの心情の機微は、やっぱり良かったです。是非、もう一度西村純二監督とタッグを組んでP.A.WORKSで作品を作って欲しい。


 各話の演出も素晴らしく、篠原監督が参加された回や安藤真裕さん、阿部記之さんの回など特に良かったです。



一週間フレンズ。

一週間フレンズ。 vol.1 Blu-ray【初回生産限定版】




 風景描写が気になった作品だった。作中で登場するその時々の風景が、登場人物たちの心情と連繋し、心情表現を豊かにしている。特に徳本善信さんの回(第4話と第8話)は顕著にその傾向が表れ、見応えがあるものだった(少し過剰気味でしたが)。第4話では、祐樹と香織の関係に合わせて、風景は陰鬱なものや、ビビッドなものへと変化する。さらに、第8話でのあまりにも鮮やかな花火の風景は、4人の親密さを表したかのようだった。

 最終話の岩崎監督も素晴らしかったです。


 岩崎太郎監督にとって、『薬師寺涼子の怪奇事件簿』以来の監督作品。僕は、『薬師寺涼子の怪奇事件簿』が好きだったので、期待通りの出来で、嬉しかったです。


 聖蹟桜ヶ丘駅付近の舞台設定も好きでした。



ピンポン THE ANIMATION

ピンポン STANDARD BOX(通常版) [DVD]




 2014年で最も興奮するエンターテインメント作品でした。漫画、映画に続き、これまた傑作です。


 セルロイド製のボールが木製の卓球台に当たる音、卓球のラケットにボールが当たる音、それらの音が作り出すリズム。漫画のコマ割りのような画面展開によって、作り出される映像のリズム。それらのハイテンションなリズムが、クオリティの高い作画、作り込まれたストーリーと合わさって、最高にエキサイティングな作品に仕上がっていた。映像や物語のテンポがブラボー。


 これを見て白熱しない者などいない、見たもの誰しもが熱狂すること間違いないだろう。


 掃除用ロボットのルンバが登場したり、現代に合わせたものになっているが、何年経っても色褪せることない作品。才能がある者とない者の残酷な現実。スポーツ作品として本当に傑作です。



ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース

ジョジョの奇妙な冒険スターダストクルセイダース Vol.1 (紙製スリムジャケット仕様)(初回生産限定版) [DVD]




 サクサクと物語が進んで面白かった作品。大体一話完結なので、ストレスなく見れました。物語展開がここまでスムーズだと飽きないです。



残響のテロル

残響のテロル 1(通常版) [DVD]




 映像、物語、登場人物ともに素晴らしかったのですが、個人的にはもう少し尺が欲しかったなと感じました。1クールではなく、2クールだったらなと。映画ならこの情報量でもいいと思うのですが、テレビシリーズだとちょっと物足りなかった。


 ハイヴとの関係性を掘り下げたり、リサとナインとツエルブの関係だったり、人物の掘り下げをもっとして欲しかったという印象。



アルドノア・ゼロ

【Amazon.co.jp限定】アルドノア・ゼロ 1(オリジナルデカ缶バッチ)(完全生産限定版) [Blu-ray]


 爽快感がある作品でした。


 敵うはずのない理不尽までな能力を持ったスーパーロボットに挑むのは、訓練用のリアルロボットという設定だけでも燃えるし、さらにそのスーパーロボットを気力・ど根性・奇跡などというもので打破していくのではなく、計算された計画、状況判断と機転によって、撃破していくのが、爽快だった。頭が良く、行動力を持った主人公を描くのはこうでないと。

 ある作品では、主人公がすごい人物だと表すのに、周りの登場人物が「この人はすごい」、「天才だ」、「ありえない、こんな人がいるなんて」などとはやし立てて表現していたが、そんなんじゃ伝わらないって。主人公がいかに頭が良く、能力を持った人間なのかは、周りの人間の薄っぺらい評価の言葉なんかじゃなく、その主人公の発想力や行動によって、示されていかなくてはならないと僕は思う。その点に関して、今作はとてもうまく描いていたと思います。

 人物描写やその関係性を描くのが本当に巧い作品でした。高クオリティなバトルアクションもグッドです。



天体のメソッド

天体のメソッド 1(特装限定版) [Blu-ray]




 ノエルは一体何者なのか。円盤とはなにか。それらのことは、作中で明確に示されることはなかった。そもそも、それらを描く気はなかったのだろう。ノエルの正体云々よりも、ノエルと乃々香たちが過ごしてきた時間、それによって出来た絆、そしてその絆の再生の方が描きたかった主題であり、円盤自体マクガフィンで、他に代用できる物があればそれでもよかったのではないかとさえ思った。


 物語のラストは、理屈などを超えたものが待っている。制作陣はあのラストを描きたかったために、今までの話を作ってきたのだろう。

 徹底的に、描きたいものを描くという姿勢が好印象でした。だからこそ、あの結末に感動したわけで。



 別に目新しいラストなんかではなく、ありふれたものでしたが、あのノエルの笑顔は最高に幸せなもので、「ああ、これを描きたかったのか」と僕は感動したのです。