『しゅごキャラ!』  第32話「ひとりぼっちのクイーン!」 がすごく泣ける。

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録画していた分を今更ながら見たのですが、今回の話はとても面白かったです。多分他の方々には、別に普通の回だったのだと思うのですが、僕にとっては「笑い」、「感動」、「萌え」がびっしり詰まった良回でした。

今回の話は、りまのキャラチェンジが判明する回だったのですが、そこで描かれる、「あむとりまの友情」、「りまと両親の軋轢」、「りまとクラスメートの関係」、が本当にうまく描かれていました。






りまがキャラチェンジして「バラバラーンス」というギャグを披露する時のデフォルメされた可愛さ、りまがボールのように縮こまる時の愛らしさ等、「萌え」のオンパレードでした。他に笑いの部分はたくさんあったのですが、でも今回はやはりなんといっても「泣き」の部分でしょう。


その泣きの部分というのは、りまとクスクスの関係です。りまとクスクスの関係がものすごく良いんですよね。りまは昔、誘拐未遂にあってしまい、そのために両親が学校と家まで車で送り迎えをしているのですが、両親とも忙しい共働きのために、りまの送り迎えが両親にとって仕事への足枷になっていたのです。そのりまの送り迎えと誘拐未遂事件で前の学校と長い争いになってしまったのが、原因となって、父親と母親の間に口喧嘩がたえないようになってしまい、りまは両親の不仲が自分のせいだと心を痛めていました。りまがあまり笑わなくなったのには、親という原因があったのですね。りまがあまり笑わなくなった理由をりまはこう言ってます。



「笑いはスキ、ギャグも。でもうまく笑わせられない自分はキライ。ちっちゃい時、いつもふざけてみんなを笑わせていた。パパもママも笑ってくれるとうれしくて。でもある時わかったの、笑うことはバカみたいでくだらないこと。笑いに逃げるのは、幼稚で弱い人のすることなの。笑えないギャグなんてサムイだけでしょ。そんなの誰もいらないの」

人を笑わせることがとても好きだったりまは、誘拐未遂事件をきっかけに両親が不仲になっていき、自分のギャグで両親を笑わせられなくなっていることに気づく。人を笑わせられないギャグなんて惨めで虚しいだけ。だからもう、人を笑わせるのも、ギャグもしなくなり、笑いをやめてしまった。いつしか自分自身も笑えなくなっていた。そして無口で高飛車な外キャラを演じるようになった、という事なのです。






そこでりまのしゅごキャラ、クスクスの登場と言う訳です。クスクスは、りまが落ち込んでいる時りまに笑って欲しくていつもおどけてみせていました。



りまは、くじ引きでクラスの本棚を整理することになってしまい、彼女は一人で黙々と本の整理をします。帰りが遅くなり、親に迷惑をかけてしまうと思い、暗い表情で一刻も早く終わるようにと本の整理をします。そこに、クスクスが自分の顔を引っ張って変な顔したり、おどけて見せたりして、りまが笑顔になってくれるように、一生懸命笑わせようとします。僕はクスクスがただのふざけていて本能のままに何も考えていないしゅごキャラだと思っていましたが、ここで随分と印象が変わりました。このシーンが布石となり、後で感動のシーンが用意されています。


その感動のシーンとは、ラストでりまが父親が運転する車に乗って帰るシーンで、めちゃくちゃ良いシーンなんです。


放課後、りまは送り迎えのために待たせている父親の車に乗り込みます。父親とは今日学校であった出来事を話すこともなく、車中は会話もなく静まり返っています。りまはフロントミラー越しに見える、父親の眉間にしわの寄った険しい顔を見て(りまの両親の顔は全てミラー越しにしか描写されないというにくい演出)、私の送り迎えで嫌な気分にさせているんだなと感じ、暗い表情を浮かべます。そこへ、クスクスがクラスの本棚を整理しているシーンのように、暗い表情を浮かべるりまを笑わせようとします。「変な顔パート2〜!」「おっかしいでしょ〜!」等と言っておどけてみせたりします。しかし、なかなかりまは笑ってくれません。おどけて飛び跳ねている最中にクスクスは、りまの膝の上にうつぶせに倒れこんでしまいます。そして、顔を上げ、いつも明るくて元気なクスクスが、今まで聞いたことのない程とても物悲しげな声で、

「ねぇ、笑って・・・」


とりまに言うのです。そこでりまはニコリと笑顔を見せます。クスクスはりまが笑顔になったのにとても喜びます。そして窓の外の夕焼けから夜に変わっていく空を指して、りまにこう問いかけます。



「ねぇ、りま、見える? お星様」



「うん」

とりまは、小さく返事をします。







このやりとりが、めちゃくちゃ良いんですよね。


この一分にも満たないシーンに、りまとクスクスの関係性がぎゅうと詰められているように感じました。

クスクスがピエロの格好をして、おどけて笑わせようとしているのは、りまのもうひとりの自分でもあるわけですが、クスクス自身がりまに笑っていて欲しい。いつも笑顔でいて欲しいという強い想いで、いつもおどけて見せているんですよね。そこにきて、クスクスの「ねぇ、笑って・・・」という今までとギャップがありすぎる切ない声での言葉は胸に刺さりました。りまを笑わせるために、わざと大げさにおどけて、ふざけていたのだと匂わせるような台詞で、心にずしりときます。


そして、最後の「ねぇ、りま、見える? お星様」、「うん」、というやり取りは、涙腺にもろにきました。「二人は同じ星空を見ている」、「二人は同じ星空が見えている」、「二人で共有する事ができる」、「同じ気持ちを共有することができる」これは、りまとクスクスの心が通じ合っていて、深くて強い心の絆を表現しているような台詞でした。りまもクスクスも自分たちの関係性を一切語らないし、行動でもでも示さない、でも気持ちを表に出さなくても心の奥底で強く繋がりあっているという所が、何とも言えない位すばらしい。




僕にとって、今回の話はほろりと泣けるすばらしい回でした。