『図書館戦争』への疑問





図書館戦争の話題を最近よく聞く。その話題の内容は大抵、「世界観がおかしい」、「戦闘がおかしい」、「リアルではない」等だ。僕は有川浩さんの作品は好きで、図書館戦争シリーズは全部読んだ既読者から言うと、上記で挙げた理由は、まったく気にならない。









多分「世界観がおかしい」、「戦闘がおかしい」、「リアルではない」等を言っているのは、アニメだけを見ている、原作を読んでない未読者の方々なのだろう。まぁそういう「おかしい」と結論に至るのは、ごく自然なことで、メディア良化法や図書隊の設定はおかしな所ばかりで納得しろというほうが難しい。それなのにアニメ化になるまでは、そんな違和感を誰も気にしなかった。それは、この図書館戦争シリーズに読者が求めていたのは、メディア良化法や図書隊等の設定の整合性ではなく、登場人物たちのラブコメや日常、表現に対する規制の問題だけでしかなかったからだと思う。だからこそ、「世界観がおかしい」、「戦闘がおかしい」、「リアルではない」を誰も気に掛けなかった。なぜならこの物語の本質がそこではない事がわかっていたから、目をつぶっていたのだろう。









普通、みんなおかしな設定には目をつぶるものではないだろうか? それなのに図書館戦争の設定につっ込んでしまう。







そもそも創作物の設定にリアルを求めるのなんて、かなりのナンセンスなことだと僕は思う。ガンダムがリアルじゃないという位、ナンセンスじゃないのかな。モビルスーツなんていう発想自体現実離れしてるし、人型であるのはどう考えても必要じゃない。なのにそれに対して誰も突っ込まないなのは、創作物だと認識しているからだと思う。それなのに、この図書館戦争は現実ではない創作物なのに設定がリアルじゃないと言ってしまう。それって結構変ではないのだろうか?ガンダムに突っ込まず、図書館戦争につっこむ理由はいったい何なのだろう。







図書館戦争への違和感に対するツッコミの原因の一つとしてあるのは、多分感情論じゃないのかなと僕は思う。この感情論は、女性に対する男性の嫌悪感、俗に言うスイーツ(笑)に近いものではないのかな。女性向けに作られた軍隊物に対して、男性が「あんなのは、軽めに作られた偽物」だと感じて、認めたくないから、否定してしまうのだと思う。ミリタリーという男の領域に女が侵犯してきたのが、男性視聴者にとってよほどいやだったのに違いない。現に図書館戦争に違和感を持つのは男性だけであり、女性は違和感を持っていない。だから「世界観がおかしい」、「戦闘がおかしい」、「リアルではない」と決め付けて、違和感という名の否定をしているのではないかと思う。







「RD 潜脳調査室」のメタルの設定に誰も突っ込まないのは、あれが男性向けに作られたものであるから誰も突っ込まないであって、だからこそ違和感も持たないのではないだろうか。





このメディア良化法や図書隊等の設定の違和感は、設定の整合性のおかしさではなく、「男性が女性に持つ嫌悪感に似た感情」が、メディア良化法や図書隊等の「設定の違和感」にうまく姿を変えた結果なのではないのかなと思った。