「紅」 第五話



真九郎と紫が崩月家に行くエピソード。アニメ版「紅」が面白いから、原作の小説を買って読んでみたところ、アニメ版は結構原作とは違う話になっているんですね。







原作とアニメ版の「真九郎と紫の関係性」っていうものが、根本的に違うような気がする。原作の小説では、紫が恋をするというのがテーマになっていて、現に紫が真九郎に好意を寄せていく過程が描かれている。例えば、紫が真九郎の前で裸になって着替えていたのを辞める所があって、それは紫が真九郎を意識しだして、目の前で着替えるのが恥ずかしくなったことを意味している。これは、男性として真九郎を見だしているのがよくわかる話で、原作では紫と真九郎を恋愛関係として描こうとしているのだと思う。






それに対して、アニメ版の松尾衡監督が描こうとしているのは、恋愛関係ではなくて、紫と真九郎を家族関係として描きたいのではないかと思う。五話では、特に家族がクローズアップされていたように思える。ラストの湯豆腐で食卓を囲むシーンなんてものは、その最たるもので、武藤環がお姉ちゃん、闇絵がお母さん、真九郎がお兄ちゃん、紫が妹、みたいな感じで家族の団欒を描いているようにしか見えない。日曜日を家族の日と位置づけたのも、やっぱり擬似家族を描きたいのかな。