けんぷファー 第1話「選ばれし者」 「青」と「赤」の色彩



 けんぷファー 第1話を視聴して気になったことのメモ。昨日の日記でも書きましたが、「青」と「赤」について。



 主人公の瀬能ナツルのイメージカラーと言えば、髪の毛や瞳の色に表される「青」。ベッドの掛け布団や寝間着、下着の色まで「青」で統一され、強調されている。第1話で彼は、銃を操る美嶋紅音と対立することになる。その第1話での美嶋紅音のイメージカラーは名前にも入っている「紅」=「赤」。また、ケンプファーになった彼女の髪の毛の色は「赤」へと変貌する。


 そもそも彼と彼女は、同じ青の腕輪を持つ仲間なのだが、第1話では戦うことになってしまう。第1話では赤の腕輪と青の腕輪を持つ者達が敵対しているということは、明確には提示されず、青=ナツルと赤=紅音が対立するという図式になっている。


 その対立を際立たせるために、「赤」と「青」の色のイメージを対比させて使用している。

「青」と「赤」

 Aパート、ナツルが沙倉楓と一緒にバスを待っているシーン。ここから「赤」の連鎖が始まっていく。


 フルショットで捉えられたナツルと楓の背後には何故か「赤い」レンガの壁がある。別に赤いレンガの壁を背後にわざわざ設置する必要などないのに、何故かそこにはある。何のために赤いレンガの壁を背後に設置したのか。それはこの後判明する。







 青い腕輪が光り出し、ナツル達は美嶋紅音に襲われることになる。ここで、背後の赤い壁は「紅音=赤」の襲撃を予見したもの、ナツル達に「赤」の襲撃が“背後”に迫っていることを知らせていたものだと判明する。また、背後の赤い壁がナツルが「赤」に追い詰められているとう印象を与えている(板ばさみのように)。その後、紅音がナツル達に迫ってくるのだが、バスによって遮られる。ここでもバスのカラーリングは「赤」になっており、ナツルが「赤」に襲われていることを強調させる。






 この後も執拗な「赤」の連鎖は止まらない。ナツルが逃げていく交差点にも、「赤」が組み込まれている。さっき述べたようにわざわざ「赤」を設置させなくてもいいのに、意図的に「赤」のイメージをフレームに挿入させている。この執拗さから意図的に設置していると捉えていいと思う。


 ナツルが地面の「赤」の領域に入った途端に、紅音の襲撃が再び始まる。「赤」の領域は、「紅音」の領域であり、その中に侵入したナツルは自然と紅音につかまって、追い詰められてしまう。紅音から銃によって激しい攻撃がおこなわれる。ナツルが「赤」の領域から脱出すると、紅音の攻撃は止むことになる。「赤=紅音」の領域に入ると攻撃が始まり、「赤=紅音」の領域から外れると攻撃はおさまることになっている。





 ナツルが紅音の攻撃から逃げた先は信号機の上なのだが、ここでも赤の連鎖は止まらず、信号機は赤信号になっている。青い空と赤信号。「青」と「赤」の対立は終わらない。「青」と「赤」を徹底的に配置していく。






 楓がナツルと紅音が戦闘している場にやってくる。彼女が「赤」の領域に踏み込んだ途端、紅音の攻撃を受けてしまう。これは前述した通り、「紅音の領域」に侵入してしまったから。これに対して、ナツルは楓を守るために紅音に初めて攻撃を行う。青空を背景にナツルは攻撃を仕掛ける。「青い空」は紅音と逆にナツルの領域であり、青空を背負うと攻撃ができるようになり、楓を守ることに成功する。







 ナツルと紅音は、その後共闘することになる。Bパートラストでの図書館での戦闘では「赤」と「青」の対立はもうない。そのシーンは図書館が「青」で統一されており(本棚や手すりなど)、彼と彼女が同じ青の腕輪を持つ仲間であり、対立する必要性がなく、共闘するということが示唆される。




「青」と「赤」を使い、ナツルと紅音の戦闘や関係を表現していく。




 他にも、「青」と「赤」については色々とありましたが、話が混み合うのでやめておきます。




最後に


 ・・・・とは言っても、山崎みつえさんが意図的に背景を指定したのかは定かではないので確かなことではないんだけどね(また身も蓋もないことを・・)。