『とある科学の超電磁砲』 第5話「とある二人の新人研修」


 Aパート、白井黒子初春飾利車上荒らしを発見する。


 黒子は初春に「応援が来るまで待機を」と引きとめられながらも、「問題ない」と車上荒らしへと向かう。「車上荒らしが何人いるかわからないので気をつけて」と初春は黒子に注意を促すが、「何人来ようが大丈夫」と黒子は言い放ち、車上荒らしへと接近する。車上荒らしへと接近する中、突然後部のドアが勢いよく開き、ドアにぶつかり黒子はふきとばされてしまう。一人だと思われた車上荒らしは実は二人組であり、後部座席に隠れていた二人目によって、状況は一変する。逃げる車上荒らし二人組を制止させようとする初春だが、車上荒らしが持っていたスタンガンによって、気を失ってしまい、犯人を取り逃してしまう。



 この出来事と照応するのが、小学生時代の黒子と初春が遭遇した郵便局での強盗事件。
 

 強盗は銃を持った一人組みだと黒子は思い込み、単独で強盗を撃退する。撃退には成功するが、もう一人隠れていた強盗が登場し、状況は一変。強盗によって初春は人質にとられてしまう。


 Aパート冒頭の車上荒らしと小学生時代の強盗事件は、全く違う時間軸上の出来事であるが、その二つは完全に照応している。単独で飛び込む黒子、二人目の犯人、二人目に返りうちにあう黒子、無力である初春など、同じ要素が二つの出来事には共通している。


 第5話では同じシチュエーション、同じ要素、同じイメージを用いて、互いに関連付けを行い、物語を展開させていく*1。提示された一つの事象は、これから起きる事象と相似しており、二つの照応した事象により物語は紡がれ、点と点が線で繋がれた時に物語は躍動する。



 郵便局での強盗事件。犯人が持つ能力、絶対等速(イコールスピード)によって生み出されるゆっくりだが確実に突き進む鉄球がシャッターを突き破り破壊し、大きな穴が開く。その穴から差しこむ眩い光は、犯人の逃走を促すものであり、黒子の思惑を打ち砕き、絶望を与えるものとなる。


 イコールスピードは黒子に絶望を与える能力だが*2、その能力と照応するもう一つの能力が黒子に希望を与えることになる。それは美琴の電撃(超電磁砲)。能力者から放たれる障害物をなぎ倒して直進する運動は、シャッターに穴を開け、黒子を絶望させるが、その開けられた穴からもうひとつの直進する運動が黒子に希望を与えることになる。開けられた穴は絶望と希望を与え、一直線の軌道は同じく絶望と希望を与える。黒子の物語は一直線の軌道によって、展開していく。



 同じ要素を持つ二つの事象、照応した出来事を用いて、第5話は形成されている。

*1:アイキャッチでの「とある科学の超電磁砲」と「とある二人の新人研修」の酷似した文字の配置などが象徴的

*2:黒子はその絶望に立ち向かうが