『けいおん!!』第15話「マラソン大会!」のメモ


 短めにメモ。


 気になるというか、妙に引っかかる回だった。『けいおん!!』らしくないというか、なんというか。車の所とか、ラストの逆再生やゴールの瞬間や澪の回転とか、っぽくないなぁと。別の作品見ている感じ。ショットの繋ぎ方も所々、気になる所が。

 違和感があるなぁ、と思って見ていた回。


 脚本/横谷昌宏、コンテ・演出/北之原孝將、作監/池田晶子



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 第15話で個人的に良いなと思ったところ。


 晴天の中、マラソン大会が始まる。唯たちは他の生徒に次々と抜かれていく。澪はビリになりたくないため(ビリになると目立ってしまうから)、「ちゃんと走らないと駄目だぞ」と云って唯たちをおいて一人先に行ってしまう。澪に置いていかれて三人になった唯たち。


律「でも、平日の昼間に堂々と学校の外に出られるのは良いよな」


紬「天気もいいし」


唯「そうだね」


 この唯たちの会話は、直後に反復されることになる。


 梓たちが走っているところに澪が追いつく。純に「一緒に走りましょう」と云われ、澪は梓たち三人と一緒に走ることになる。澪の笑顔が映し出され、彼女の嬉しさ・喜びが垣間見える。後輩に誘われて嬉しかったのだろうか(一人で走るのがいやだったのかもしれないが)。梓たち三人が前を走り、澪が後ろを走る。梓たち三人の後ろ姿を捉えたショット(澪のPOVショット)で、先述した律たちの会話が梓たちによって反復される。まるで、律たちの会話を聞いていかのように、類似した会話を繰り返す。


憂「普段なら教室で授業を受けている時間に学校の外出られるのって、なんだか楽しいね」


梓「天気もいいし」


純「うん」


 梓たち三人の後ろ姿を捉えたショットの次は、澪を捉えたバストショット(澪は三人のやりとりを後ろから見ている)。


 唯たちは、白猫やケーキ屋や子供や自動販売機など、マラソン大会なのに寄り道ばかりしていた(唯が寄り道しているんだけど)。そんな中、唯が澪を見つける。澪は、梓たちから離れ、唯たちが来るのを待っていたのだ。ビリになってしまうかもしれないのに(事実、ビリになってしまうんだが)。



 なぜ、梓たちと一緒に走ることを放棄し、ビリになるかもしれないというリスクを負ってまで、唯たちと合流したのか。それは、反復された会話からもわかるように、平日の昼間に堂々と学校の外に仲間たちと出られる経験、学校生活最後のマラソン大会という、最後のイベントを梓たちとではなく、唯・律・紬の三人と経験したいために、ビリになるかもしれないリスクを負ってまで、唯たちに合流した。唯たちと一緒にマラソン大会という時間を共有したかったのだ。


 梓たちが楽しげに「あのバッグかわいい」、「今度の日曜に見に来よう」などと喋りながら走っている姿を後ろから見て、澪は唯たちと一緒に走りたくなったのだろう。


 ここが素晴らしいのは、澪の心情の機微を余計に説明しないというか、野暮になることしない。あっさりとした、さりげない描写が良い。繊細な描写。

 唯たちと合流したときに何も声をかけないという抑制された表現も(この前の梓たち合流時も澪は声をかけないでいたりする。台詞の排除が効いている。それに澪の表情も抜群に良い)良い。


 丁寧な仕事。



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 ゴールの所の変顔オンパレードも面白かったけど、メガネが光るとこも面白かった。なぜ光らした?



 坂でのグダグダなやりとりとかも面白かった。