『アマガミSS』第3話「森島はるか編 第三章 ヤキモチ」

・今回は、終始笑いながら観ていた。ぶっ飛んでる。純一の暴走ぶりというか、変態ぶりというか。こんな奴だったのか、純一って。アバンから面白い。「世界はこんなにも輝いている!!」、なんてバカバカしい台詞。調子の乗り方が半端じゃない。



・この唐突さ、そして飛躍。有無を言わせず、視聴者を引きずりまわす粗暴さ。



・はるかという人物は、押しに滅法弱い気がする。彼女が振った男性たちは、再び彼女に告白しなかったらしい。唯一、振られたのに懲りずにアタックしたのが主人公・純一。多分、はるかにとって諦めずにアタックし続けてきた初めての男性が純一だったのだろう。なので、押し続ける(おねだりする)純一に惹かれてしまう。膝の裏にキスしたいなんていうお願いを受けてしまうような女性だし。彼女は大の犬好きであり、子犬のようにかわいくて一生懸命な純一に惹かれてしまうのだろうか。勿論、純一はかわいい子犬なんかではなく、ただの変態なんだけど。



・はるかの思い付きの無茶苦茶な行動にも、ちゃんと付き合ってくれる初めての男も純一だったのだろう。あんな突飛な振る舞いをするはるかに、子犬のように付き従う男は純一くらいなもの。はるかが飼い主であり、純一は子犬。



・「よし、先輩を小屋に連れ込んだぞ」ってどんな台詞だ。



・Aパート。小屋でのシーン。「こら、急に黙ったらこわいじゃない」と云うはるかを捉えたウエストショット。被写体が画面中央ではなく、画面右側に寄っている。画面右側に寄ったため、画面左側に生じた空間(窓からの光が届かずかなり暗い空間)がはるかの現在の心理(不安感)を視覚化する。



・犬が膝裏を舐める気持ちを知るために膝裏にキスをするって、どんな理由だ。無茶苦茶だし、それに納得するはるかって・・。



・Aパート冒頭、タイトルが映し出される所。純一が踊り場で高橋先生や薫と話しているところに、はるかがあらわれ、純一の服の袖を握ってその場から連れ出す。階段を下り、玄関へ着くと、第3話のタイトル「ヤキモチ」が画面中央の柱に表示される。タイトルが表示されたあと、はるかは純一に先生や女子生徒と何話していたのよと云い、これはヤキモチではないかと純一は思う。タイトルが純一を連れ出した理由を先に語ってしまっているのが気になった。あのタイミングでタイトルを出したのって意図的だよなぁ。別にもっと前でタイトル出してもよかったのに。それも、画面中央の柱を使って、タイトルを出すのが印象的。気になるレイアウト。



・Bパート冒頭。美也は友人たちと食堂にて昼食をとったり、梨穂子はよく噛んで食事をするというダイエットをしてたり、各々昼休みを過ごしている中、純一ははるかの膝裏にキスしていましたという見せ方に笑ってしまった。皆が飯食っている中、お前らは小屋で何やってんだよ。



 ・Bパート。はるかと香苗が電話をしているシーン。見ていて気になったのが、家の電話を使っていること。律と澪が携帯電話で話していたりと、今の女子高生は普通携帯電話で話すもんじゃないのかと思ったり。香苗に至っては、黒電話で玄関だし・・。香苗の古風さを出したいのかわからんが、黒電話って。いつの時代だよ。携帯電話を持ってないのか、携帯電話を持ってはいけないのか。どうなんだろう。微妙に時代がずれてる感じがする。時代設定っていつなんだろう。うーん、どうでもいいことが気になってしまう。ここの芝居は結構丁寧だった。はるかが本音を打ち明ける時、子機を左から右へと持ち変える。小道具を利用して、彼女の心理的変化を補強する。香苗との電話を終え、ソファに横になる時、抱いていたクッションが床に落ちたりと芝居が丁寧だったり(抱いたままでもよかったはずだが、そうはしなかった)。香苗は座布団を敷いて電話をしたりと(廊下なので)、描写が細かい。



・Bパート。飼い主(はるか)と子犬(純一)の関係が逆転する時が訪れる。純一はわけのわからん芝居で、塩ラーメンをはるかに食べさせることになる。あまりにもバカバカしいことなんだけど、はるかという人物はそういうバカバカしいことが大好きな人間らしいのでノリノリで「ごっこ」をする。両手が使えない設定なので、純一ははるかの口にスープを運ぶ。つまり、餌をあげる立場にいたはるかが、餌をもらう立場へと変化する。飼い主から子犬へ。彼女はあの餌をもらうごっこを気に入ったようで、家に帰った後あの「ごっこ」を思い出しながら、喜ぶ。はるかは、飼い主という立場よりも、子犬の立場の方が好きっぽい。彼女は、甘えられるよりも、甘えたい人であり(香苗との電話でもわかるように)、おねだりされるよりもおねだりしたい人。塩ラーメンを食べさせられる行為によって、年下という障害は取り除かれ、思いっきり純一に甘えられるようになった。

 二人の距離が縮まっていくプロセスがちゃんと描かれているんだけど、バカバカしさで隠れてしまっているような。



・世界が徐々に純一とはるかの二人だけの世界になっていくとこ。純一とはるかは人の目も気にしないで、二人だけの世界に没入していく。彼と彼女は、まるで他の生徒が存在しないように振る舞っていく。



・純一はただのド変態であり、特殊な性癖の持ち主だ。子犬なんかではない。この段階でこのレベルなのだから、付き合いだしたらどんなことを要求するのか。恐ろしい。



・脚本/木村暢、コンテ/畑博之、演出/奥野耕太、作監/羽野広範・宮崎修治。