『輪るピングドラム』第5話「だから僕はそれをするのさ」のメモ


 コンテ/幾原邦彦、演出/そ〜とめこういちろう、作監/馬場充子・西位輝実


 面白かった。ちょっと感動した。



 冠葉の少年時代の回想シーン。陽毬は熱が下がらず、危険な状態に陥っていた。最悪なことに救急車が全部出払っており、陽毬を病院に連れていけない。そこで、台風の暴風雨の中、冠葉の父親の剣山は陽毬を背負って徒歩で連れて行こうとする。そこに冠葉も勝手についていく。途中、冠葉を庇いガラスの破片で怪我をした剣山。怪我をしても、冠葉を気遣いながら陽毬を病院に連れて行く。


 その父の後ろ姿を冠葉は傍で見ていた。




 Bパート。ペンギンの帽子を取られ、危険な状態に陥った陽毬。苹果が投げたペンギンの帽子はトラックに引っ掛かってしまっていた。雨の中、自転車を漕ぎながら冠葉は必死にトラックを追いかける。陽毬を救うために。


 少年時代の回想シーンとトラックを追いかけるシーンは照応している。どちらも雨の中、陽毬を救うために必死になって困難に立ち向かう。父親は台風の中、腕を怪我しても陽毬を救った。その父親の背中を冠葉は傍で見ていたのだ。


 少年時代は足手まといにしかならなかった冠葉だが、今度は違う。もう父親はいないのだ、陽毬を救うことができるのは冠葉しかいない。陽毬を救う今度の番は冠葉だ。


 彼は、雨の中ボロボロになりながらもあきらめず、どんな困難が襲い掛かっても決して手を離さなかった。


 正直、このシーンはちょっとくどいというか、無駄に長すぎるんじゃないかと初め思ったが、それは違う。冠葉の意志の強さ、父親の意志を継いだ彼を表現するためにはこの長さが必要なのだ。


 父親が大雨の中、困難に立ち向かい陽毬を救ったように、冠葉も大雨の中、困難に立ち向かい陽毬を救った。


 彼は父の意志を確かに継いだ。


 子供の時は父親が陽毬を救う存在だったが、今は冠葉が陽毬を救う存在となった。


 そして、冠葉は運命を変える。



 二つのシーンの見せ方がよかったなぁと感じた。


 余談だが、第5話では父親がもう一人登場する。苹果の父だ。苹果の父と冠葉の父は対照的だ。



・・・


 おまけ。


 ・モンブランのくだり。


 桂樹が「ここのがベストオブモンブランだ」と云う時、時籠ゆりのアップショットが映し出される。ベストオブモンブラン=一番はゆり。桂樹はゆりしか見ておらず、苹果なんて見ていない。桂樹はゆりのモンブランに夢中。




 ・ご利用は計画的に。