true tearsの真の主人公は、乃絵と言っていいだろう。しかしこの乃絵という人物の心情を完全に読みとれるかといったら、非常に難しいだろう。

まず一つ目に、true tearsの特徴とも言える「黙して語らず」の精神と暗喩の多さが乃絵の心情をかなり難解にしている。登場人物は、自分の考えを多く語らず、黙っているシーンが多い。読み手の視聴者は、前後の登場人物の行動から現在の登場人物の心情を読み取らなくてはならず、かなりの能力を要する。そして暗喩がまたしても心情を複雑にしている。乃絵におけるニワトリがその暗喩の代表格であり、他にも眞一郎の絵本などがあり、その小道具から、登場人物たちの心の奥底を読み取らなくてはならず、かなり難解な物になっている。

二つ目は、乃絵の言動の異常さ。乃絵の突拍子もない行動や何を言っているのかわからないずれた発言は、ただ流すように見ると一見電波系にしか見えないが、その言動一つ一つに隠された意味があり、それを読み解くのにこれまたかなりの難解さがある。


三つ目は、岡田磨里が書く女性からの視点。特に最終回の乃絵を読み解くには、男性目線ではなく、女性目線で読みとかなくてはならない。岡田磨里の女性として描く乃絵の人物像は男が読み解こうとしても、理解しづらくわかりにくい。下手すると誤った見方をしてしまう。男性にとって乃絵の心情は読みづらい。

四つ目は、乃絵のバックボーンがちゃんと描かれてないこと。おばあちゃんとの関係や過去の話、両親などが謎につつまれすぎており、彼女のそれまでの生い立ちが見えにくく、結果元からの性格がどんなものかわからなっかった。


今まで挙げた点が乃絵の人物を読み解くのに非常に障害になっている。結論から言うと乃絵の心情を完全に読み解くのは、不可能だ。自分自身必死に読み解こうとしたが、途中であきらめてしまった。あまりにも複雑すぎて読み解けなかった。