「紅」 第六話
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2008/07/16
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脚本、絵コンテ、演出、松尾衡。
「プレスコやってんなら、ミュージカルやらなきゃ駄目だ!」と言わんばかりの松尾衡監督のエゴと笑いが炸裂した回。アニメ史に伝説がまたひとつ生まれました。レッドガーデンと同じく松尾衡監督の趣向が爆発していた。「紅」でミュージカルをやる必要性は全くないのに、それでもオリジナルとしてやったのは松尾衡監督がものすごくやりたかったのですね。本格的なミュージカルのダンスが無かった所を見ると、松尾衡監督は本物のミュージカルがやりたかった訳じゃなくて、プレスコで歌がやりたかったんだなと思った。
あと五月雨荘を中心とした、シチュエーションコメディを彷彿させるような構成で、フルハウス?ってツッコミを入れてしまった。
プレスコとミュージカルはやっぱり相性が良いんだなと思った。プレスコの、声優の演技の幅を広げ、それをダイレクトにアニメで表現できる特色が、ミュージカルのセリフと歌が合体した独自の表現を、見事にアニメで成し遂げていた。
プレスコじゃなきゃミュージカルは真に表現出来ないと「紅」を見て感じた。
ミュージカルの歌はアフレコだと上手く表現できない、なぜなら既に出来上がった画に声をあてるのだから、声優に物凄い技術を要するし、またそこにミュージカル風の歌を合わせると声と画に不具合が生じてしまう。声優の演技を事前に収録し、それに合わせてアニメーションを作るプレスコは声優の演技をフル活用し、尚且つ声に合わせて作るのだから、ミュージカル風の歌の表現にぴったしな訳だ。
とは言っても、プレスコとミュージカルっぽい事の組み合わせは、既にディズニーが大昔にやってるから、目新しいことではないんだけどね。
日本のアニメでは練馬大根ブラザーズがミュージカルを本格的にやっていたけど、日本でのプレスコとミュージカルの組み合わせは、「紅」が多分初めてなんじゃないのかな。
Bパート、五月雨荘を舞台に、ピアノの音にのせた二分半以上のミュージカルは圧巻だった。
古びた木造建築の和風とミュージカルの洋風のアンバランスが笑いを引き起こしていて、真面目にミュージカルをやるよりも何倍も良かった。
笑いによってミュージカルを飽きさせずに見させていのも、良かった。
わざとオーバーに歌わせて、画の動きとズレを生じさせてミュージカルっぽくしてるのも芸が細かい。
今回の「紅」は、良い意味の原作破壊だったなぁ。