「マクロスF」と河森正治監督と吉野弘幸さんについて




マクロスFO.S.T.2 「娘トラ。」

マクロスFO.S.T.2 「娘トラ。」





う〜ん。最終話の感想は、カラオケのメドレーって感じだなぁ。しかも、恋愛をまる投げ。劇場版で決着をつけるのかな。河森正治監督が言っていたが、コンテが大変だったらしい。そりゃそうだ、あそこまで詰め込むのなんてかなり大変だよ。うまく処理したよなぁ。








それで、全体の感想は、





とにかく物語の王道がやりたかったのだろう。だからあういうラストに持っていったんだな。河森正治監督もインタビューで王道学園ラブストーリーをやるって言っていたし。でもこの作品、学園物としてうまく機能していないんだよね。せっかく学園という舞台が用意されているのに、全然生かしきれていない。っていうか学園を舞台にしたエピソードが少なすぎ。シェリルが途中で学園に入学する出来事も、いらなかったのではないかな。ランカなんかアイドル業が忙しくて後半あたり学校きていないし。








それに関連して一番意外だったのが、シリーズ構成・脚本の吉野弘幸さん。何が意外だったのかというと、「マクロスF」が今まで手がけてきた作品と印象ががらりと変わったということ。「舞-HiME」、「舞-乙HiME」では、学園物を見事に描ききって、河森正治監督もそこに目をつけて抜擢したらしい。それなのにもかかわらず、学園物をうまく描ききれていない。それに加えて、彼の個性が皆無だったこと。吉野弘幸さんの個性とは何かというと、キャラを黒化させたり、視聴者を裏切るような構成をすることだと僕は思っている。キャラを狂わせたり、今までのキャラとイメージが違う事をやらせたらピカイチだったのではないかな。「舞-HiME」、「舞-乙HiME」、「アイドルマスター XENOGLOSSIA」第六話「高度二万米」、の時のようなキャラの黒化、意表をつく展開が「マクロスF」には皆無だったと僕は思う。例えば、ミシェル死亡の時も急激にクランとの仲を加速させ、死亡フラグを丁寧に作ったり、出来事に対して、必ず伏線やフラグを作るという堅実な物語構成をしていたと思う*1。そういう物語構成をあえてしないのが、吉野弘幸という人物だと僕は考えており、キャラの黒化、フラグを無視した視聴者への良い意味での裏切りなど、今まで手掛けた作品を見ると王道の展開を拒んできた節が彼にはある。今回、「マクロスF」のシリーズ構成・脚本を担当すると知ったとき、とんでもなくドロドロとした三角関係やえげつない展開をするものだとばかり思っていたが、そんなことは全くなく、王道中の王道と呼べるストーリーと爽やかな展開が待っていたので、僕は結構驚いた。しかも、全話分の脚本を書くというのも驚きだった。







はっきりと言えば、王道の物語をするなら吉野弘幸さんに「マクロスF」のシリーズ構成・脚本をやらせる意味があったのか疑問だ。プロットやダイアログがうまい脚本家の人は他にもいるし、「地球少女アルジュナ」や「地球防衛家族」、 「創聖のアクエリオン」で自ら脚本を書いた河森正治監督自身がやればよかったのに、と僕は思ってしまった。





河森正治監督は、吉野弘幸さんが今までやってきた事と違う事をやらせてでも、王道の物語、直球勝負がやりたかったのだろう。





まぁ、なんだかんだ言ってますが、「マクロスF」やっぱり面白かったです。

*1:一話だけフラグをバキバキにへし折った回があったけど