「ヒャッコ」の「キャラクターの配置」と「物語の展開」について考察する






ヒャッコ 第1巻 [DVD]

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今期、「ヒャッコ」が抜群に面白いなと感じる今日この頃。何でこんなに面白いんだろうと自分なりに考えてみると、演出もさることながら「キャラクターの配置」と「物語の展開」が見事なんじゃないのかなと思った。










「キャラクターの配置」








「ひたまりスケッチ」や「まなびストレート」など「女子学園物」のキャラの配置にはあるパターンが存在している。「ヒャッコ」とよく似ているキャラの配置を行っているのが上に挙げた「まなびストレート」だと思う。『天宮学美=上下山虎子』、『稲森光香=能乃村歩巳』、『衛藤芽生=伊井塚龍姫』、『早乙女雀=小鳥桃葉(?)』という感じでキャラが配置されている。それで、もっとも役割のわかりやすいキャラ配置の3パターンがこれ、





元気一杯の女の子。物語を動かして、事件を引き起こす中心人物『天宮学美=上下山虎子』



内気でどこか弱弱しい女の子。主人公と出会い、付き添い、振り回される、視聴者目線の人物『稲森光香=能乃村歩巳』



強気で意地っ張りで頑固な女の子。主人公と対立軸にあって、ツッコミ役の人物『衛藤芽生=伊井塚龍姫』



この3パターンが「女子学園物」の黄金パターンであり、これをやっておけば物語が簡単に、効率的に動き出す王道なキャラ配置だと思う。この三人が中心となって動けば、簡単に物語が動くし、サブキャラも十分に生かせる。これに、『早乙女雀=小鳥桃葉』等のスパイスを加えると作品にオリジナリティが生まれ、いくらでもストーリーが作れる。



こういう効果的なキャラ配置をしているから、キャラクターの魅力がフル活用できて、物語も面白くなるんだと思う。









「物語の展開」







物語の展開の仕方も面白いと僕は思っている。特に三話目からの展開は見事だと感じた。




最初、能乃村歩巳、伊井塚龍姫の元へ上下山虎子が降ってくることで物語が本格的に動き出す。これは、今期で言えば「鉄のラインバレル」や「ケメコデラックス!」、「かんなぎ」のような「落ち物系」の展開だろう。能乃村歩巳、伊井塚龍姫の「日常」の元へ上下山虎子が「非日常」の存在としてその名の通り「落ちてくる」。平凡な日常の中に突然異質なものを放り込むことによって、物語が劇的に急変し、物語が始動する、のが「落ち物系」なんだと僕は思っているが、その系譜上に「ヒャッコ」がいるのは間違いないだろう。





それに伴って歩巳、龍姫が虎子によって平凡な「日常」から慌ただしい「非日常」の世界に誘われていく。ここまでは、「落ち物系」でよくある展開なんだけど、その後の展開が「ヒャッコ」の面白い所だと僕は思う。一話、二話では歩巳と龍姫が虎子に振り回される構図なんだけど、三話目からその構図が変わってくる。



「非日常」の存在だった虎子の前に、虎子を超える変人たちが続々と登場してくる。その代表みたいなのが杏藤子々や涼ヶ崎知恵だったり、虎子よりも「非日常」の存在である人物たちがどんどんと物語に乱入してくる。それでは、虎子はどうなるかというと「非日常」の存在から「日常」の存在に「反転」していく。あんなに変人だと思っていた虎子がどんどんと普通の女子に戻っていく。それに反して、龍姫は超が付くお嬢様だと判明したり、歩巳は男子生徒からかなりモテていることが判明したり、最初「日常」の存在だった歩巳と龍姫等周りの人物が徐々に「非日常」の存在へと変貌していく。虎子、龍姫、歩巳の「日常」と「非日常」の構図が段々と話が進むにつれ逆転してくる。虎子が「非日常」から「日常」へ。自分の存在をこんな簡単に横断できる便利なキャラはそうそういないし、ここまで立ち位置を変えられるキャラがいるから物語にぐっと厚みが出てくるように思える。三話から登場人物が続々と揃い始めて物語が格段と面白くなってきのは、上下山虎子という存在の「反転」が次々に出てくるキャラの導入を円滑にして尚且つ物語に厚み加えたのではないだろうかと僕は思ったりする。










あと「ヒャッコ」ではよく「反復」を行う。この「反復」というのは、お笑い用語で「天丼」というもので、同じシチュエーションを繰り返すことによって笑いを誘う。同じシチュエーションを繰り返すことを「ヒャッコ」ではしつこく行う。これも「ヒャッコ」の面白く感じる一因なのかも。









とまぁ、自分でもよくわかってないことを書きなぐってしまった。ネット上でよく考察されている表象的な面白さもあると思うんだけど、キャラとか物語的な面白さも十分にあると僕は思うんだけどな。そういうことをちゃんと誰か書いてくれないかなぁ。