サマーウォーズになくて、ヱヴァンゲリヲンにあったもの




 昨日、ようやくヱヴァ破を観ました。今更ですが、観てきました。興奮しました。8月5日、最初にサマーウォーズを観たときの心のモヤモヤが取れました。

 それについて、感想というか、めちゃくちゃな印象論を書いていこうと思います。テンションがおかしいですが、あしからず。



 サマーウォーズを観た時、なんか盛り上がらないなぁとモヤモヤしてました。いつ胸躍らせてくれるのかな、なんて思って観ていたけど、それは最後までなかった。サマーウォーズは良く出来た素晴らしい作品です。面白い事には間違いありません(先日、また劇場に行きました。やっぱ良いなこの作品)。でも、時かけを観た時ほどのの興奮はなかった。なんで、その興奮がなかったのかとずっとモヤモヤして感想も書いていませんでした。でも、昨日観たヱヴァのおかげでそのモヤモヤが吹き飛びました。サマーウォーズに足りなくて、ヱヴァにあったもの。

 




痛み」なんだ!! 「代償」なんだよ!!! サマーウォーズに足りなかったのはこれなんだ。だから、胸が躍らなかったんだよ!!



 何かを成し遂げるためには、「痛み」があって、「代償」があるんだ。それが大きければ大きいほど、見せられる受け手は心を突き動かされる。受け手に渡さなければいけないんだ、「痛み」を。




 なのに、足りないんだよ。サマーウォーズには。目的を成し遂げるためのプロセスに「痛み」や「代償」が圧倒的に足りない!!!



 シンジ君は、皮膚が剥がれおちても、綾波を助けようと必死に前に進む。そこには、身体的な痛みも、心の痛みもある。でも、健二にはそれがない。っていうか、当たり前だ。だって、ネット上の話なんだもん。現実の痛みなんてありゃしない*1。腕がもげるわけでもないし。

 その差が人に与える影響は大きい。



 クレしんのオトナ帝国の時もそうだ。しんちゃんはボロボロになりながらも、必死にただひたすらに、がむしゃらに階段を上り続ける。その姿に、見ているものは心を突き動かされる。時かけでも、「痛み」を背負いながら、真琴は進んだ。



 目的のために自分の身を削って、邁進する。その必死さを見て、人々の心がようやく震えるんだ。




 なのに、ないんだよ。サマーウォーズにはそれが。キングカズマがボロボロに傷ついても駄目なんだよ。健二や夏希や佳主馬が傷つかなくてはだめなんだ。重くないんだよ、軽いんだ、サマーウォーズは。ずしんとくる重さが全然足りないんだ!!



 今回のシンジ君はとんでもなくかっこいいし、惹かれるし、心をわしづかみにされる。反対に健二達はあんまかっこよくない。やっぱりこの差はでかい。現実世界で健二がボコボコにされてもなお必死に計算を続けるとかそんな描写があったらなぁ。


 「痛み」なんて、単純で、安直で、安易なことなのかもしれないが、そのシンプルが、シンプルこそが人の心に訴えかけてくる。直接、殴りかかってくる。


 「痛み」が、本物であろうが、偽物であろうが、やっぱり物語には必要だ。その痛みが嘘っぱちでも、描かなくてはいけないんだ、そうしなければいけない。「しない」と「する」では大きな違いがあるとヱヴァとサマーウォーズを観て思った。じゃあ、ダイハードなんて最高ですよね、なんていう話になりそうだが、あいつの痛みとシンジ君の痛みは別物だ(全くではないけど)。




「痛み」という要素が足りな過ぎる。

世界を救った達成感があまりも感じられないんだ。











あとは、雑記。


・やっぱ、人少ない。流行ってない映画館というのもあるけど、もうみんな観終わってるんだよな。すんげー、まばらだ。満員よりも随分と良かった。


・氷川竜介さんのブログくらいしか、読まなかったのが良かった。人が絶賛しているものを否定したくなる・見たくなくなるひねくれた心をもっていてよかった。何も情報がないまま行った方がいいな。


・なぜウルトラマンかと思ったのだが、Qだからなのかと思った。まあ単純に好きなだけか。


・奇抜な構図があんまない。かっこいい構図はたくさんあったけど。


・メガネの必要性を感じなかったけど、終わり頃でこの子の役割はミサトさんより大きいと感じた。この子の搭乗理由が今っぽい。


・なんか、エウレカみたい。綾波とシンジ君が。再放送見てるからかな。人じゃなくてもいいみたいな。「それは、エウレカエヴァっぽいんだろ」ということになりそうなんだけど、やっぱヱヴァがエウレカっぽいような気がする。


・カヲル君のプラグスーツを着る時の「シュ」と一瞬にして縮まる時の見せ方かっこいい。ブヨブヨの時見せないんだ。


貞本エヴァだと紅茶だけど、ここではミソスープなんだね。 


死亡フラグが良い感じに働いていた。トウジに思わせぶりなことをしておいてなんもなかったとか、結局アスカ死なないじゃんとか。サマーウォーズはまんまだったもんなぁ。栄おばあちゃん死ぬなぁと思ったら、その通りだったし。健二とふたりっきりで話すなんてどうみった死亡フラグ


・ガイナというか、グレンラガンっぽいのかも。


・初号機が妊娠しているみたいに見えた所があった。


サマーウォーズではネットがバリバリだけど、この世界にはネットは存在しないの?


・携帯が古臭いというか、ダサいというか。良い感じの古さ。


綾波が後ろを向いて、ごそごそやってる所(薬の所)があったけど、音がカール食ってるような音に聞こえて、なんか変な感じだった。


・小難しいことをしないで行こうという姿勢なのかな。曲ループが終わるなんてすごくわかりやすい。ユイと綾波がかぶったり。みんながみる映画だもん。


・ジャンプカットがエヴァっぽくなかったように思えた。あそこだけ誰かが・・。


・トウジが死なないとなると、彼の役割はサルしかなくなるのだが。


・全世界のエヴァ集合で、ライダー大戦みたいなものが次回起きないのかしら。


エヴァとしてじゃなくて、ヱヴァというロボットバトルアクションエンターテイメント作品として楽しむのがいいのかも。エヴァじゃないよね。別物。


・初めのエヴァ(メガネが乗ってた奴)は、アーマードコアに出てきそうな感じだった。


鶴巻和哉さんの作品だなと思った。ラストととか、もろだ。


・弐号機の目が開かない。口は開くけど。


・前の席の女の子がワンワンと泣いていた。ものすっごい号泣だった。人がまばらなせいもあるのかな。サマーウォーズの時も泣いている女性がいた。


・これは2度目の世界なの、みたいなオチはちょっとやだな・・・。


・このスタッフじゃ、絶対面白いものができあがるよ。つーか、どんだけなんだ。エース、トップクラスがいっぱい。どうやって、そろえたんだ。そりゃ、そろえられるか・・・。山本沙代さんがいたのが意外だった(確かいたはず)。


・帰りの電車の中、だるそうに携帯を見ていて「つまんねー」を連呼していた男子高生二人組や、「夏休み、なんも楽しいことないよ」と嘆いていた女子高生四人組に、「じゃあ、ヱヴァ観に行かないか?」と言いたくなったけど、どう見たって変質者になるのでやめた。まだ、ギリギリ夏は終わっていないので今なら間に合う。観に行こう。

*1:フィードバックするような仕組みがあったらなぁなんても思った