涼宮ハルヒの憂鬱 第21話「涼宮ハルヒの溜息II」について


涼宮ハルヒの憂鬱 第21話「涼宮ハルヒの溜息II」について、色々書いていきます。



繋ぎ


 Bパート、SOS団メンバーが部室にて映画撮影について会話するシーン。このシーンの最後は、キョンが湯のみを置こうとすると白いBB弾が湯のみの下にあり、それを指で弾く所で終わる。白いBB弾を弾くと、場面転換し、白い風船が飛び立っていくさまが捉えられる(図1)。

図1


 キョンが自宅から出て集合場所へと歩いていると後ろに黄色い風船が飛んでいる。場面転換すると黄色い風船が飛んでいた画面上半分の所に、次はハルヒの黄色いリボンがある(図2)。

図2



 ここではイメージの連鎖によって場面転換がおこなわれていく。白いBB弾→白い風船→黄色い風船→黄色いリボンの順にイメージは連鎖していく。イメージの連鎖(関連性を持たせることによって)で紡ぐことによって、滑らかに場面転換をしていくというのもあるが、このイメージの変遷は、キョンがこれからハルヒの傍若無人な振る舞いに、ハルヒによってけったいな事に巻き込まれていくことさまを示唆していると捉えることができる。何にも染まっていない白色からハルヒのカラー(リボンの色)黄色へと移っていく。言い方はそぐわないのかもしれないが、イメージがハルヒによって浸食されていく。そして、キョンはこれからハルヒのけったいな映画撮影に巻き込まれていくのだった・・。

 「風船が飛んでいく=持っていた人間の手から離れて上昇していく」のは、ハルヒの言っている心のタガがはずれて潜在能力が覚醒するのとかけているものあるだろう。

 また、ここではうまく視点の誘導もおこなわれている。白いBB弾を画面左下方向に弾くと、画面左下から白い風船が飛んでいく。画面上半分を飛んでいる黄色い風船から、画面上半分にあるハルヒの黄色いリボンへと場面転換する。視点を誘導することでスムーズに場面転換が行われている。


 ラストは、キョンが拾ったBB弾を弾いて終わる。今度のBB弾は黄色なのだ(図3)。白かったBB弾が黄色に変化したのは、ハルヒによって浸食は完全に完了したことを意味してい・・・じゃなくて、黄色いBB弾はハルヒなのだから、単純に「ハルヒいい加減にしろ」っていう事なのだろう。

図3




 モデルガンに弾を込めながら、キョンと小泉が部室で会話するシーン。

「誰だって、映画の中の登場人物と、演じている俳優を混同したりしないでしょう。もしいるんだとしても、それは涼宮さんには当てはまりせん」

 この小泉の台詞とともに、前景には小泉の横顔、後景は窓ガラスにうつった小泉が描写される(図4)。台詞の意味通り、現実と虚構、小泉とガラスにうつった小泉で、現実の世界とフィクションの世界を表現している。また、キョン達が今扱っているのは本物ではなく、モデルガンだということも記憶にとどめておきたい。

図4



約42秒間


 ヤマツチモデルショップ前でのCM撮影シーン。CM撮影の様子をみくるの後ろから、撮影側のハルヒ達を約42秒間の1カットで捉えていく(図5)。ショットをカットしたり、クローズアップをしないため、誰かにフォーカスがあてられるわけでもなく、視聴者は一つのアングルから撮影時のハルヒ、朝比奈、小泉、キョン、それぞれの挙動をあますことなく見つめることができる。撮影時のメンバーの様子をすべて捉えることができる長回しを使い、SOS団メンバー各々の行動をうまく表現している。

図5


 もしかすると、これは長門のPOVなのかもしれない。朝比奈の後ろには、看板を持った長門がいるし、この1カットに長門を入れてもよかっただろう。でも入れなかった。長門からの視点でハルヒ達の撮影模様を見ていると考えると結構面白い。この作品の視点は主にというか、ほぼキョンの視点で捉えられている。でも、この撮影の時だけ、長門へと視点が委ねられている(前のCM撮影の時も)。そう考えるとこの1カットは珍しいのかも。いや、キョン視点じゃないのって、結構あるか。



コンテ・演出


 この方らしいというか、なんというか。連鎖させる所とかはっぽいなぁと思った。今回はやりすぎるわけでもなく、適度な感じで、観ていて飽きなかった。前に日記で書いたけど、やりすぎてすべってる時もあるので。

 登校する所とか奥地での撮影の所とか好きだな。




おまけ1


 キョン越しの朝比奈さんのそわそわ具合がいいな。ハルヒが振り向いてキョンに向かって笑うのか。そういうことするんだなぁ。



おまけ2


 わざわざ、時計を見せるのか。丁寧だなぁなんて思った。別に見せなくてもいいのに、なんて思った。