『おおかみかくし』 第1話「嫦娥町」


 観ていて、不気味だったというか、ちょっと恐かった。安直だけどひぐらしっぽいなぁなんて思ったりした。



 こんなにも白色が不気味に見えるとは思いもしなかった。ごくごく普通の「日常」というものが、不気味に見えた。Aパート冒頭での白い車に乗る九澄一家のシーン。ガードレールの白と道路の白(っぽい)と車の白。第1話は画面に白が氾濫している。制服にしかり、妹さんの服にしかり、これから出てくる団地にしかり。

 流れていたラジオにノイズが入り、番組を変えると、「八朔、八朔」という歌がラジオから聞こえてくる。そうすると、「よこうそ嫦娥町」という錆びれた看板と赤文字で書かれた八朔祭りの旗が目に入ってくる。ラジオのノイズが契機となって、別の世界の入り口を通る。スピード落とせの看板とダンプカーと土木機械が映し出された後に、九澄一家の住処となる団地が姿をあらわす。その団地は異様なまでに真っ白であり、九澄一家が乗る白い車は団地の白へと溶け込む。そして、九澄博士は摘花五十鈴という少女に出会う。


 ここら辺が観ていてちょっといやーな感じだった。看板とダンプカーがなぜか不気味に見え、異様なまで真っ白の団地はまるでこの世ではなく、別の世界のよう。ぜったいこれからいやーなことが起きる感じ。まぁ、僕が勝手に不気味だと思っただけですが。


 妹さんと博士と五十鈴の登校シーンも白一色でなんか変な感じ。朝っていうことで白っぽく処理されている。

 
 白が不気味さを加速させる。


 なぜかみんなにチヤホヤされ、旧市街と新市街があり、店は7時に閉まり外を出歩かない。妙に馴れ馴れしかったクラスメイトが逃げるようにして去っていく。「八朔、八朔」という歌(なんか聞いたことがある。特撮?)。そこまでおかしくない日常なのに、どこか引っかかるおかしさ。うわ、こえーなと思っていたけど、鎌持ってる女の子が出てきたあたりから急にファンタジーっぽくなってこわくなくなった。


 非日常の世界をどーんと見せられると不気味感なくなるのね。