『閃光のナイトレイド』第1話「救出行」のメモ

 『閃光のナイトレイド』第1話「救出行」について短めにメモ。


時間、円環


 ファーストショット、腕時計が映し出され、秒針が時を刻む。物語の始まりと同時に、秒針が動き出す。

 動きだす時計の秒針とそれに伴う針音は、物語の始まりをあらわしているかのように思える。




 『閃光のナイトレイド』とタイトルが映し出され、次のショットでは画面右上に円形の光と画面左下に逆光で影に覆われた人物が捉えられる(影で覆われた人物は、三好葵)。冒頭の腕時計の円と光の円は、全くの無関係のようには思えず、二つは連鎖しているようにみえる。円形の光は満月の明かりのようにも思えるが、この後時計台の時計盤の光だということが示される。




 冒頭に映し出される腕時計と円形の光。『閃光のナイトレイド』第1話では、円形のイメージ・円環イメージが度々登場する。それは、時計盤であったり、夜の街中を走行する無数の車のヘッドライトであったり(バイクのヘッドライトであったり)、赤と緑の信号であったり、船上で三好葵に向けられて発砲された時の円形の光であったり、三好と伊波葛が飛行機から降下する時の背後にある満月であったり、懐中電灯のライトであったりと、円環のイメージ(円形の光)は頻出する。第1話において、円環が主題の一つになっているように思える。


 冒頭の腕時計は、物語の始まりをあらわすかのようだと書いたが、Bパートで明かされるように三好葵の能力(サイコキネシス)には「時間制限」があり、そのことを示すために腕時計が映し出されたのだろう。「カチ、カチ」という針音は、『閃光のナイトレイド』のタイトルまで持続し、時間がこの物語と大きく関係しているように感じられる。三好葵の時間制限、すなわち時間の要素が第1話のみならず、全話において「時間」は重要な要素なってくるように思える。その物語に重要な「時間」という要素が、冒頭の時計盤や円形の光が示すように、「円環」のイメージへと繋がってくるように思える。「時間」と「円環のイメージ」は連繋している。全編に散りばめられている円環のイメージが、「時間」という要素を鮮烈に印象付ける。全編に渡って、「時間」(円環のイメージ)が画面を支配しており、三好の時間制限が強く印象付けられる第1話。


 

おまけ1


 余談。


 第1話では、たびたびイマジナリーラインが越えられている。その中で、気になったイマジナリーライン越えについて。


 三好達と桜井信一郎が作戦について会話するシーン。左へとカメラが移動していき三好まで辿り着く、ショットが切り替わりイマジナリーラインが越えられる。そうすると、右へとカメラは移動していき、カメラが三好まで行き着くと今度は左へと移動していく。このカメラの移動とイマジナリーライン越えは密接に関係しているだろう。カメラの移動は三好達と桜井との会話の流れに連繋しており、「カメラの移動=会話の流れ」のためにイマジナリーラインを越えたように思える。伊波(1)→桜井(2)→三好(3)へと会話は流れて(3まで会話が行き着くとショットが切り替わりイマジナリーラインが越えられる)、桜井(4)→三好(5)→伊波(6)→桜井(7)となっている。三好(3)から桜井(4)までのカメラ移動を省くために(三好までカメラが移動したら、桜井までカメラを引き戻さなければいけない手間がある)、イマジナリーラインを越えたのかもしれない。








 Bパート。三好葵と桜井信一郎の会話シーン。三好は、鏑木会長のポケットに入っていた兵器の目録を桜井に渡す。桜井は、なぜ私に渡す気になったのかと問うと、あなたよりも味方と敵の両方に武器を売る鏑木の方が腹が立つからと三好は答え、「ハハハ」と作り笑いをする。そうすると、イマジナリーラインを越えて、三好と桜井が「ハハハ」と笑う様を捉える。イマジナリーラインを越えることによって、違和感を与え、三好と桜井の「食えない」笑いを際立たせる。三好と桜井の間に置かれた柱は、二人を分断し、三好と桜井の間にある隔たりを感じさせる。




 蛇足だけど、ベクトルの変化もあるように思える。桜井は三好を統べる立場(上位の立場)にある。三好は下位であり、桜井は上位。イマジナリーラインを越えると桜井の場所に三好がいる構図になり、二人の立場関係は逆転する。ベクトルの変化が起こり、三好は食われる立場から食う立場に変わる。簡単に云うと、三好は油断できない奴っていうことが示されているようにも思える。


 それとも、前述した三好達と桜井の会話シーンでの三好と桜井の「ハハハ」という作り笑いの時の構図を反復させたかったためなのか。



おまけ2


 苑樹雪菜役の生田善子さんって初めて名前聞いたな。前にどんな作品に参加していたんだろう?



 脚本:大西信介

 演出:ヤマトナオミチ 

 コンテ:松本 淳 

 作画監督:佐々木啓悟