『会長はメイド様!』第4話「ネットアイドルAOIちゃん」のメモ


 『会長はメイド様!』第4話「ネットアイドルAOIちゃん」がすごく面白かったのでいろいろとメモ。いっつも面白いけど、今回は格段に面白かった。


 脚本/吉田玲子、コンテ/森脇真琴、演出/湖山禎崇作監/滝本祥子


 いつにもまして、ハイテンションなギャグ。桜井弘明テイストっぽいけど、違う感じ。ハイテンションなギャグが連続したと思うと、一転シリアスへと変化する。強弱の付け方が秀逸。


 今回のお話はというと。メイド・ラテに、ネットアイドルとして有名なAOIちゃんが来店する。どうやら、店長のお兄さんの子供らしい。メイド・ラテで働きたいと店長に云うAOIちゃん。そこから、AOIちゃんと美咲を軸にドタバタ劇が繰り広げられる。



 文字の使われ方が印象的だった。



 文字で現在の状態の説明(会話内容は店長の兄の話)。「帳簿つけてるの〜」っていう現状説明にちょっと笑ってしまった。




 「碓氷君、入って」の台詞と共に、店長の心の声が漏れたり。発話と文字で二重に。




 フェロモンが文字となって回転しながら出る。ここも笑ってしまった。




 碓氷がオムライスを料理中に描かれる擬音の連発は強烈。料理の腕前の凄さが料理をしている姿ではなく、擬音から伝わってくるのが面白い。みじみじってみじん切りのことか。




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 AOIちゃんが男の子だと判明するまでの伏線の張り方など。

 視聴者がAOIのことを男だと気付くシーンは、美咲の着替えを目撃するシーンだろう(その前に気付いている方も結構いると思う。男だと匂わす台詞をいくつか喋っている)。AOIは思いがけず美咲の着替えを目撃してしまい、顔を真っ赤にする。なんで真っ赤になったんだろうと見ていて疑問に思った瞬間に、AOI(声:五十嵐裕美)の「き、着替えてたんだ」の台詞が入る。この台詞の言い方が、今までの女の子っぽい言い方ではなく、男の子っぽい言い方に変わっている(声が低音になっている)。女性の着替えを目撃してしまい、素(中学生の男の子)がつい出てしまったのだ。その後の、女らしさがないと美咲に詰め寄る姿は、女の子というより、女の子に憧れているAOIの姿を浮き彫りにする。

 そして、画面左上にある「男装DAY」のポスターが視界に入ってくるだろう(このシーンだけでなく、他のシーンにも登場する)。AOIが行っているのは女装だが、「男装」という言葉によってAOIが扮装しているという考えに思考は自ずと連鎖する。「男装DAY」のポスターの含意は、AOIの女装だろう。


 それと話は変わるが、「男装」のイメージは、後に出てくる女なのに男らしい美咲の話に繋がってくる。美咲は、男装をしているかのように、外はとても男らしい(大人の男を倒してしまうほど男らしい)。中身は乙女だが。


 「男装DAY」のポスターは、AOIと美咲の二人に連繋する。



 AOIを持ちあげた時に抱く美咲の違和感により(胸を触って、違和感を感じた)、AOIが男だという事実が決定的なものとなる。

 他にも結構色々な伏線が張られている。


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 人物が店外に放っぽりだされると、背景はクレヨンで描かれたような世界になる。ここも笑ってしまった。クレヨンってのがいい。


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 葵にあわせてカメラが横移動する中、美咲がノートを買うためやティッシュを貰うためにフレームアウト/インを繰り返す。葵が素通りする中、美咲は素通りせず、安い/無料のものに夢中になる。二人の興味を抱く対象の違いが美咲のフレームアウト/インでよくわかる1カット。



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 Bパート。美咲と葵の画面分割。


 一回目の画面分割は、美咲と葵を対比させるかのように、画面が分割される。大の男を倒してしまう程男らしい女の子の美咲。男の子なんだけど、女の子らしいものが好きな葵(女装好き)。二人は一見正反対のようだが、「自分らしくいよう」とする点では通底している。画面分割による美咲と葵の対比。



 二回目の画面分割はちょっと変わっていて面白い。


 画面左に美咲、画面右に葵、画面中央には二人の歩く後ろ姿。二人が歩く姿と、二人のやりとり(袖の破れについて)が同時並行的に描かれる。こういう見せ方ってあんまないよなって思ったり。



 美咲と葵の描かれ方がよかったな。


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 デフォルメが多かった(いつにも増して)。ここのデフォルメ好きだな。なんか、別の作品みたい。 



 今週も面白かったです。