『アマガミSS』第5話「棚町薫編 第一章 アクユウ」


 棚町薫編がスタート。



 冒頭から薫と純一は、じゃれ合ったりしたりして、とても仲がよい。薫が純一の耳を噛んだりしたりするのをみると、薫は純一のことを男だとあまり意識しているようではなさそうだ。だが、物語が進むにつれ徐々に薫は純一のことを意識し始めていく。純一が絢辻の肩を持ったこと、純一が薫のスカートの中を見たこと、これらの出来事が少しずつ薫の意識を変え始めていく。といっても、これは布石のようなもので、純一に対する薫の意識を変えさせる大きな力にはなっていない。この後の純一のある一言によって、布石が結集し、純一に対する薫の意識が変わる。


 薫に校舎裏の花壇に呼び出された純一は、恋の相談を持ちかけられる。そこで、純一は気のきいたアドバイスをする(的確なアドバイスとは云えないと思うが)。すると、薫のクロースアップが挿まれ、薫の微妙な心の揺れが表される。徐々に純一に対する意識が変わっていく。


 薫と純一が一緒に帰っている途中、純一は「薫に呼び出されたとき告白されるのかと思った」と薫に云う。薫を仰角から捉えたショットでは、空に浮かぶ雲が流れ、薫の髪とスカートは風で靡く(カメラが若干動く)。薫の心理的変化が風によって視覚化される。純一のこの台詞によって、薫は純一を意識し始める(恋愛を意識し始める)。これから薫は、純一を悪友から一人の男性として見るようになっていく。話はずれるが、この町に風車が設置されているのをみると、風が強い地域なのだろうか。第1話目からやけに雲が風に流されている、かなりの速度で。



 ファミレスのシーンへと移行すると、今まで純一からの視点だったのが、薫からの視点へと転換され、物語は進んでいく。ファミレスのシーンで、薫は鏡をよく見る。自分の気持ちを確かめるかのように、鏡に映った自分の姿を彼女は見続ける。


 薫は純一の視線が気になってしょうがない(薫は見られる存在となる)。それは、純一がいやらしい目でファミレスの制服を見てくることもあるが、薫が純一の視線に耐えられないからであって、Aパートのように気軽に見つめ合っていたことが出来なくなってしまう。最終的には薫は純一の前に出れなくなる。友達だった男が、急に変わって見える。その薫の心情の変化を視線や鏡を使って描いていく。



 第5話は、薫が純一を意識していくさまを、懇切丁寧に描いてく。森島はるか編での唐突さに比べると、その落差がすごい。薫がはるかよりも突飛な行動をしないからわかりやすいのかもしれんが。今回の棚町薫編はまともな話になりそうな感じがする(そうでもないのかな)。


 余談。店員のスカートを見て、コーヒーを啜って終わるっていうのは、誤解されやすいなと思ったり。純一が変態としか見えない。まぁ、変態なんだけど。