『ましろ色シンフォニー』のメモ


 久しぶりの更新。


 今期の作品で気になっているのが、『ましろ色シンフォニー』。


 前の日記でも書いたが、第1話「ましろ色の出会い」Aパートでの新吾と桜乃と愛理の三人での携帯電話のやりとりが見事だったので、そこから気になって毎週欠かさず視聴している。後から制作がマングローブだとわかってちょっと驚く。美少女ゲーム原作を手掛けたのが結構意外。



 この作品は、男と女が出会って混じり合い、交流を重ねていくうちに、二人の関係はどう変化していくのかということに重きを置いているように思えている。


 舞台は、各務台という町。各務台は、裕福層が主に住む「旧市街」と中流層が住む「新市街」の二つの区域で形成されている。新市街に住み、新市街にある「私立各務台学園」に通う主人公・瓜生新吾が、旧市街にある「私立結姫女子学園」の生徒である瀬名愛理と出会うことで物語は始まる。


 上述した旧市街と新市街の設定は、男と女の暗喩となっているのだろう。新市街と旧市街にいる違う色をした二人が(厳密に言うと愛理は現在新市街に住んでいる)、高校統合のために同じ高校に通い、混じっていく。主人公やヒロインが転校してくるとかではなく、統合という形で各務台高校と結姫女子学園という異種のものを一つに合わせるのは、男と女が混じり合うことを意識しているように感じる。


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 この作品を第5話まで視聴していて思ったことは、


 「大したことが何も起こらない」


ということ。


 一般的な作品なら何らかのイベントや事件が起こって、ストーリーが展開していくのだと思うが、大したイベントも事件も起こらない。「はがない」などの作品のような、イベントや事件は発生せず、淡々と学園生活は続いていき、その中で少しずつ関係が変化していくという感じで物語は進んでいく。はっきり言って、地味である。でも、派手じゃないこの地味さ加減が僕にとっては結構心地よい。「たまゆら」的な落ち着いた雰囲気ではなく、別な落ち着いた感じが好きだ。


 それとちょっとだけ細やかな描写が所々あって、そこらへんも良いなと思っている。

 例えば、愛理の自宅へとみんなで押し掛けて料理を作った際、新吾たちがプラスチックの使い捨て食器や割りばしや紙コップを使っている所とか。一人暮らしをしている愛理の家には、数人分の食器が用意されていないために新吾たちは割りばしとか使い捨て食器を使っているわけなのだが、意外とこういう描写を忘れがち。前に観た作品で、一人暮らしなのに数人分の茶碗が何故かあって、疑問に感じたことが前にあったりした。


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 それと、第5話「あなた色のメイドです」で気になったことを色々と。


・新吾は、周りのことによく気がつく人間である。なので、ほんとに細かいところまで気を掛ける(愛理のシャンプーの匂いとか)。お昼御飯をみんなで食べようと、机を合わせるとき、新吾はぴったりと机と机を丁寧に合わせる。椋梨が生徒会の仕事から戻ってきて、一緒にお昼御飯を食べようと机を合わせようとするのだが、ちょっと乱暴に机をぶつけるように机と机を合わせる。ぶつけてずれた机を新吾は何も云わずに直す。この二人の机をくっつける仕草を愛理は見ていて、そこで新吾は他の男子とは違う存在だと再確認する描写がある。新吾のさりげない優しさ(気配り)を見て愛理の気持ちが揺れるという描写で、こういうのが結構好きだ。そういう描写がこの作品には度々ある。



・この作品には、恥ずかしい台詞(というか笑ってしまう台詞?)が結構ある。愛理の「来週さん、来週さん、早くあいつに会わせてよ」って聞いた時は思わず吹いてしまった。


・僕には「ぱんにゃ」という生き物が不気味に見えて仕方がない。こいつが画面に出てくると、妙に異様なんだよな。猫とか犬をデフォルメしたものでもなんでもなく、全くの別の生き物で、誰もが受けて入れているのが不思議。ファンタジーものでもなんでもないんだけどな・・。


・出合小都美さんのEDが素晴らしい。エンディングテーマ「水彩キャンディー」に合わせて、水彩を基調として画面構成。多彩な色彩と可愛らしくて乙女チックな小道具たち。EDだけ別作品みたいだ。このときの「ぱんにゃ」はかわいい。