『あの夏で待ってる』最終話のメモ あの夏で待ってる。


 第12話「あの夏で待ってる。」を視聴して。



 第11話「行かないで、先輩」からイチカは白い布(イチカの姉さんがくれた)をかぶっている。その姿はかなり印象的だ。それで思ったことを。


 Aパート、電車でのシーン。

 イチカは海人に対して、「海人君をずっと好きでいる、だからずっと好きでいてね」と云う。海人は「誓います」と答える。そのやりとりは、結婚式での誓い言葉のやりとりのようであり、イチカの白い布はウェディングヴェールを想起させる。誰もいない電車の中、二人だけの空間で、彼と彼女は誓いの言葉を交わす。このために、白い布を被せたのかなと思ったりした。


 追手から逃げるイチカと海人は、まるで花嫁を連れて逃げているかのように映ってしまう。



 それと、あの夏の終盤は「竹取物語」っぽいなと思ったりもした。月からの使者によって月に帰るかぐや姫イチカが重なってみえた。それと曖昧なのだが、竹取物語にも羽衣って出てこなかったっけ?





 ラストシーンも良かった。


 イチカが星に帰り、夏が終わり、姉さんが家に帰り、檸檬先輩も学校を去った。特別な時間は終わって、日常が訪れる。


 そんな中で、海人たちはあの夏に撮影した映画の未完成版の上映会をする。


 エンディングテーマ「ビードロ模様」が流れ、海人たち制作した映画がスクリーンに映し出される。でも途中から、白い入道雲と青い空とギラギラとした太陽の日差しと深緑の木々に囲まれて過ごしたあの夏の映像が、海人、哲郎、柑菜、美桜たちが過ごした喜びと痛みが織り交ざったあの夏の映像が流れる。そして最後に、イチカの姿がずっと映される。



 彼と彼女たちは、回顧する。特別な一度だけのあの夏を。

 最後に、海人が校舎の窓からイチカを撮影した映像が流れる。彼と彼女の出会いの映像。



 最初の出会いをこのラストで持ってくきたのに、僕は思わず感動してしまった。この物語は、思い出と回顧の物語だ。イチカと海人の出会いが8ミリフィルムであったことは、この物語のすべてを端的に表してくる。

 それにしても、このやなぎなぎの曲はすごく良いな。このシーンを俄然盛り上げてくれる。




 イチカと海人はそのまま離れ離れになってしまったのか。ラストで、数年後の文化祭での映画上映会が描かれる。その「あの夏で待っている」と題された映画で、七海のボリビアの土産を着たイチカの姿が映し出される。檸檬先輩とりのんの力によって、別れ際に海人がイチカが告げた「迎えに行きます」の宣言通りイチカを迎えに行って、二人は再び出会えたのかもしれないし、イチカが会いに来たのかもしれない。詳細は分からないが、二人は再び出会えたという解釈の余地が残される。

 海人たちはラストシーンを撮れなく未完成だった映画を完成させた。



 ちなみに、OPの映像と照応している。