『D.C.III 〜ダ・カーポIII〜』のシャフトスタイル


 第1話「サクラサク」を視聴して。


 脚本/山口伸明、コンテ/石倉賢一、演出/奥野耕太、作画監督/西尾公伯



 Aパートの冒頭、新聞部部室でのシーン。ぶつ、ぶつと切っていくカットのリズム、やけにカットを割るのなぁと思っていたら、無駄というか入れなくてもいいようなカットを挿入したり、ちょっと変わった構図をしたり、何やら普通の感じではなく、この奇抜な感じはどっかで見たことある・・・、シャフトっぽい感じだ。


 監督の石倉賢一さんって、どこかで見た名前だなと思ってたら、シャフト作品に多く参加している方ではないか(『ひだまりスケッチ×☆☆☆』のシリーズディレクターをしていた方だ、ようやく思い出した) 。シャフトっぽさはあるけど、石倉賢一監督が自分なりに消化したシャフトスタイルっていう感じ。
 

 シャフトっぽいなという思う感覚は、去年も経験した。『さんかれあ』の時だ。第1話目からシャフト的なカット割りのリズムとレイアウトの数々に、シャフトっぽいと感じた。監督は畠山守さん。小俣真一さんの変名だ。


 最近、シャフト作品に参加して、シャフトスタイルの影響を受けた演出家の方の監督作品が多いように思える。制作スタジオがシャフトではないのに、シャフトっぽさがあるという作品。それは例えば、大沼心監督であり(バカテス)、元・演出家の上坪亮樹さんであったり(そふてに)、坂本隆さんや(黄昏乙女×アムネジアシリーズディレクター )、鈴木利正監督(本編というより、OPやEDを担当した時)、畠山守監督、石倉賢一監督などが挙げられる。丁度、シャフトで経験を積んだ演出家の方たちが監督を任される時期に入ってきたものなのだろう。おそらく、このあとも多くのシャフトスタイルを学んだ演出家が監督をしていくと思う。


 
 シャフトのスタイルが徐々に拡散している。


 でもそれは、シャフトのスタイルのまんまではなく、自分なりに解釈し、昇華したものだ(前の記事で書いた畠山守監督のことなど)。今後、シャフトのスタイルがどう咀嚼され、進化・深化していくのかが気になるところ。それが一過性のものなのか、ずっと続くものなのか。

 石倉賢一監督がどんな風に作品を展開していくのか楽しみ。




 Aパート、新聞部室でのシーン。度々挿入される髪の結び目のクロースアップショット。挿入されるタイミングによって、シャフトっぽいカットのリズムが生まれる。他にも瞳や顔のクロースアップなどが、瞬間的に挿入される(独特のリズムを生むため)。




 黒板を使ったお約束の演出。森園立夏の心情に合わせてチョークで書かれたキャラの絵柄がころころと変わる。




 アイキャッチのシルエットがefっぽい。色使いとか。




 俯瞰からのショットが反復される。それによって、独特の映像に仕上がっている。Aパート新聞部室でのシーンやBパート校門でのシーン。校門シーンの打ちひしがれる影だけの美琴が面白い。




 Aパート、夕暮れのシーン。登場人物の立ち位置によって影の具合が違うのがやけにリアルで、手が込んでいるなと思った。夜に変わる間際の感じがよく表現されている。



 Bパート、自室でのシーン。反復される平面的なフルショットとか、ちょっとシャフトっぽい。




・・・・


 放送された2008年から時間が結構経っていて、設定を忘れまくっており、話がちょっと飲み込めない・・・。宮崎なぎさ監督の時が懐かしいなぁ。