『獣の奏者エリン』 第43話「獣ノ医術師」

 第43話「獣ノ医術師」なかなか面白かった。エリンが獣の医術師として生きていく決意をするという結構重要な回だった気がする。



・Aパート冒頭でのリランを外に出す場面と、Bパートラストでの同じくリランを外に出す場面の対比が良かった。Aパート冒頭、降り続いていた雨は止み、雲の切れ目からリラン達にまばゆい光が照らされ、鳥達のの囀りが聞こえてくる、平和というかちょっとのどかな雰囲気が漂う。エリンの口調もいつも通り優しい感じ。Bパートラストでは打って変わり、曇天。光なんて差しこまず、外は薄暗い。Aパートでは「いま出してあげるから」とリラン達に優しく接していたのに対して、Bパートでは「出なさい」と厳しい口調に変わる。胸にあった母・ソヨンの形見の腕輪は、音無し笛へと変わる。エリンが獣の医術師としてリラン達に接していくという強い想いが、反復された「リラン達を外に出させる行為」によって表されている。



・山リンゴの接ぎ木をする場面。この場面での接ぎ木の包帯グルグルは、後のエリンの指がリランに食われて包帯グルグルに繋がってくるような気が。包帯によるイメージの連鎖。山リンゴはエリンの名前の由来だし、この接ぎ木の場面はエリンがリランに指を食われることを暗示していたのかな。

 接ぎ木の包帯グルグルとエリンの2本になった指ってなんか似てないか?



・蝋燭の炎は過去へと誘われる装置として機能しているのではないのか。



・リランが王獣使いを襲う時、落ちた雷は赤く染まり、雷によって生じた火も血のように赤く、その炎は激しく木々を燃やす。襲われた王獣使いの血とリランの怒りが雷を赤く染めている。



・エサルの手袋とソヨンの腕輪を食いちぎられた手に一緒に付けるのは、エサルとソヨンの想いを獣によって奪われた手に宿し、これから獣の医術師として生きていこうという意志の表れだよなぁ。



・次回には何十話ぶりに闘蛇衆たちの村の面々が再登場だ。どう変わったのか気になる