東京マグニチュード8.0 第3話「燃える、橋」が面白い


 最近、忙しさからアニメをうまく消化できていないので、放送から約一週間遅れで書いています。ついさっき録画していたのを観終えたばかりというか、ホント今更なわけですが・・。



 僕は、毎回「東京マグニチュード8.0」を勝手な思い込みを持って視聴していまして、例えば第2話で日下部真理がケーキを持ってくる所があるんですけど、僕は勝手にハラハラしながら観ていました。普通なら、第2話目のケーキと第1話目のケーキにはこういう意味がナントカカントカっていう感じだと思うんですけど、僕には「絶対に凄惨な食料の奪い合いが始まる」としか感じ取れなくて、「そのケーキをよこせ!!」とか、「俺にも食わせろ!!」「私にも食べさせて!!」とか、周りの人達がケーキを貪りにきて、小野沢姉弟と真理さんがボコボコにされる事が起きるんじゃないかと勝手にハラハラしながら視聴していた次第で・・。だから、第3話目冒頭のおにぎりの時も、周りの人間との食料の奪い合いが始まるんじゃないかと・・。実際には、皆そこまで切羽詰まっていないので、そんなことは起きるわけないんですけどね。変に漫画の影響を受け過ぎてるみたいで、どうもおかしい見方しかできていなんです・・。そのうち、体に変な模様を描いた気の狂った少年*1とかと遭遇すんじゃないのかとわけのわからんこととか思ったり。
 

 とんでもなくバカバカしい戯言はこのぐらいにして、第3話「燃える、橋」で気になった事をいくつか。



手と手


 第3話では、「手を繋ぐ」という行為がキーポイントになっているんではないかと感じました。ひどい人混みの中なので、はぐれないようにと真理は未来と悠貴と手を繋ごうとします。悠貴はすぐに手を繋いでくれましたが、未来は手を繋ごうとはしませんでした。未来が手を繋がなかったのには、子供みたいで恥ずかしいという気持ちもあったのだと思いますが、未来はまだ真理に心を開ききっていないということが読み取れます。手を繋ぐ=信用する・心が通じ合うことがまだ出来ないのです。その直後余震により、未来は真理たちと離れてしまいます。一人はぐれてしまった真理は先を急ぐ人たちに押されて、倒れそうになります。その瞬間、戻ってきた真理に手を掴まれます。ここで真理と未来は、一応手を繋ぐことになるのです。手を繋いだと言っても、これは未来の意思ではなく、今後真理とはぐれないために強制的に手を繋ぐという、受動的なものであります。真理が強引に未来との心の距離を縮めましたが、未来は自分から真理に歩み寄ろうとはしません。しかし、時が進むに連れて、真理の心に変化が少しずつ訪れます。余震が再び起こり、人が大勢潰される瞬間を見てしまいショックを受ける未来。余震の最中、真理は「大丈夫」と言い未来の手をずっと強く握りしめていました。真理は大きな余震が起きても未来の手を絶対に離さなかったのです。ここに真理がいかに未来を強く想っていることがわかります。また、階段を下りている最中、ドミノ倒しが起こり、悠貴と真理達と離れてしまいます。悠貴と離れ離れになってしまい挫けて泣きそうになる未来ですが、自分の手を離さず悠貴を懸命に探そうとしている真理の強い横顔を見て、未来は泣くのを堪えて悠貴を探すのです。これらの出来事を重ねて、未来は真理に徐々に心を開いていくのでした。ここまで、「手を繋ぐ」ことを中心に未来と真理の関係が描かれています。

 そして、第3話のラスト、波で大きく揺れる船の上で、未来は自分の肩にある真理の震える手を見て、自分から、能動的に真理と手を繋ぐのです(図1)。今まで強い一面しか見せていなかった真理の弱さを見つけ、今まで真理は災害の恐怖に耐えながらも、自分たちのことを守って励まし続けていたのだと理解し、「ありがとう、真理さん」と伝えるのでした。未来は、真理が自分たちのことを本当に大切に想ってくれているのだと理解し、真理に心を開くのでした。

図1


「手を繋ぐ」という行為を使い、未来と真理のせばまっていく心の距離を描いていくのは、なかなか秀逸だと感じました。未来の内面的な心の変化を、「手を繋ぐ」という物理的な見せ方をすることによって、視聴者にわかりやすく尚且つ効果的に伝えていました。



日下部真理について思ったこと


 上では未来のことについて述べたましたが、今度は日下部真理について思った事(感想)を書いていきます。日下部真理は非常に世話好きでおせっかいな人物です。それは、未来たちの発言からもわかることですが、困っている人を見るとすぐに手助けいくことからも感じ取れます(ベビーカーの事など、地震後は顕著に見られるようになった)。僕は、今まで真理という人物は困っている人を見捨てられない常人よりもはるかに心の強い人間(ちょっと普通の人間じゃない程の心の強さを持っている)だと捉えていて、ちょっと現実味が薄い人物だと思ってました。しかし、第3話のラストでの未来達の肩に回した手が震えている描写を見て、考えが変わっていきました。

 真理は、人を助ける行為(主に子供)、「小野沢姉弟を守る」ことによって、自分自身が救われているのではないかという考えが頭をよぎったのです。なぜ、そんな事が頭をよぎったかというと、彼女には5歳になる幼い子供がいます。地震によってその子供とは離れ離れになっており、自分の大切な子供と離れているので彼女はとても不安な状態にいるでしょう。自分の子供を助けられないという不安を解消するために、代償的なものとして、小野沢姉弟を助け守る(母親になる)。それによって、充足を得ているのではないかと僕は思いました。そう考えると、別に真理は心の強い人物とかではなく、至って普通な心(弱い心)を持つ一般的な母親だということが浮き上がってきます。僕にとって、真理はこの極限状態でも冷静且つたくましく行動できるどこかスーパーマン的、非人間的な心の強さを持っている現実離れした人物で、「こんな奴ホントにいんのかよ、いないだろこんな強い奴」と嘘臭さがありましたが、上に書いた様に真理をみると、実に人間的な、ごくごく一般的な人物であり、リアリティのある人物に変わりました。

 主人公は未来なのですが、真理は主人公を上回るほどの深い魅力持った人物だと思います。




おまけ


 それにしても、滝川クリステルは一体どこにいるんだ?