『おおきく振りかぶって〜夏の大会編〜』 第12話「9回」


 すごく面白い回だった。素晴らしい。ストーリーの運び方が絶妙すぎる。



 脚本/黒田洋介、コンテ・演出/水島努作監/小木曽伸吾・新垣一成・小田嶋瞳。モモカンが劇中で「総力戦」っていったように、スタッフも総力戦だったような(一原とニ原が・・)。


 美丞大狭山戦になってからはずっと黒田洋介さんが脚本書いているんだよな。前半は、満仲勧さん・山本靖貴さん・爽田夏央さんが脚本書いていて、練習というか、脚本書かせたかったのかな(それか丸々やらせたかったのか)。


 時折入るPOVショットが効果的(緊迫した試合状況だと特に)。視聴者を物語(登場人物)へとより没入させる。栄口の所とかいいね(その前のしたたる汗も良い。栄口の緊張が伝わってくる)。野球とPOVって相性いいのかも。


 カット割らないで、CG(?)で見せるのもいい。臨場感というか、迫力が出る。



 和田にホームランを打たれて皆が消沈し(ここの西浦ナインの見せ方が巧い)、緊張して三橋のコントロールが狂う時にダッチアングルになる。緊張感や不安を増幅させる。


 栄口がミスしたり、皆の気持ちが落ち込んできた時に、三橋が「ワンナウト」と叫んで皆を鼓舞する。そうなんだよ、皆を立て直すのはお前しかいないんだ。お前は、エースなんだ。三橋が自分をエースだと再認識するこのシークェンスかっこよすぎるわ。あの三橋が皆の精神的支柱になるっていうのが、感動的。その後の沖のナイスキャッチかっこいい。


 そして、自分自身の意志で三橋は首を振る。これってすごく重要なことだよなぁ。首振ってもサインをくれる。首を振り、キャッチャーと一緒に配球を組み立てる、三橋は新しい一歩を踏みだす。今度は阿部に対しても首を振らないと。



「怖がったり、尊敬してるだけは、バッテリーじゃない」。この言葉を三橋から聞ける日が来るとは。



 都合良く奇跡なんて起こるわけもなく。試合初出場の西広に打てるわけもなく。当然の結果なわけで。でも、全く拮抗させないのも凄いな、11対6だし。西広をラストバッターにさせるなんて容赦ないというか。高校野球をありのまま描こうという意思があるよな。


 やっぱ、田島凄いな。最後まで、全然集中力落とさないし。

 栄口が泣いている横で、泉の目に涙が(カット尻に一瞬。最初栄口見てて見逃した)。みんなの悔しさが伝わってくる。


 負けてはしまったけど、ここから始まるわけで。三橋が首を振り、阿部との新しい関係が始まっていく。ラストの阿部と三橋のツー・ショットなんて、素直に感動する。三橋の「負けた」の一言。良すぎるだろ。

 モモカンと田島の会話を聞いて、阿部も三橋と一緒に組み立てていかなくてはならないとわかっただろう。

 三橋は阿部に依存というか頼るのをやめて、阿部は三橋をちゃんと信頼するようにする、一方的なものではなく、相互的な関係へ。
 


 それにしても、全員一年でここまでやれるんだから凄いよなぁ。新人戦、秋大会とどうなっていくのやら。


 すごい盛り上がりだった。素晴らしい回。