『会長はメイド様!』第25話&最終話&まとめ


 第25話「陽向と美咲と碓氷くん」と最終話(第26話)「ずるすぎるよ鮎沢、碓氷のアホ!」とまとめについて色々と。


第25話「陽向と美咲と碓氷くん」


 脚本/池田眞美子、コンテ/桜井弘明、演出/佐々木奈奈子、作監/野村芙沙子、総作監/井本由紀。


 深谷陽向が初登場した時、碓氷のライバルとして美咲を奪いあうのだなと思っていたけど、実際はそんなことはなく、陽向はただ美咲と碓氷の距離を縮ませるためだけに登場したのだと回を追うごとに知っていく。


 もう美咲と碓氷が結ばれることは絶対で、その絆が壊されることも、揺さぶられることさえもない。陽向は、美咲と碓氷の間に割って入ることはできなかった。

 美咲と碓氷は相思相愛であり、美咲を振り向かせることができる男は碓氷だけだ。


 「自分がずっと想い続けていた女の子には既に好きな男がいる。二人は、相思相愛だ。自分に振り向く可能性は限りなく低い。ほぼないと云っていい。その時、お前はどういう答えを出す?」


 第25話は、その問いを陽向に突き付ける。


 Aパート。メイド・ラテのシーン。エリカの占いで碓氷と美咲は相性が悪いと云われる。碓氷は占いを気にして、落ち込む(美咲をからかっているだけだが)。そんな碓氷を見て、美咲は「そんなことで簡単に私から離れるのか」と云う。二人のやりとりを見てしまった陽向。陽向は、美咲が碓氷のことを想っていることを確信したことだろう(薄々気付いていたと思うけど)。この美咲の台詞は碓氷に向けられて放たれたものだが、陽向にも向けられていると云える。「美咲が碓氷を想っていることを知ったら、お前は美咲から離れてしまうのか?」

 この問いに陽向はどういう答えを出すのか。


 Bパート。玄関でのシーン。陽向の不手際で、美咲と陽向は水道の水を浴びてビショビショになる。美咲たちの前に碓氷が現れ、美咲に自分のワイシャツを着させる。二人の様子を見ている陽向。頬を赤らめて、恥ずかしがる美咲をまたしても見てしまう。自分には見せたことのない美咲の表情を見てしまった陽向は確実に悟っただろう、碓氷と美咲の相思相愛を。碓氷は陽向に対して、「ワン!」と云う。またしても、陽向は「お前はどうするんだ? 諦めるのか?」と問われる(碓氷の「ワン」)。陽向は、碓氷と美咲が去っていく後ろ姿を見ながら、涙を流し、歯を食い縛りながら「ワン!」と碓氷に吠え返す。


 「自分がずっと想い続けていた女の子には既に好きな男がいる。二人は、相思相愛だ。自分に振り向く可能性は限りなく低い。ほぼないと云っていい。その時、お前はどういう答えを出す?」


 この問いに陽向は、「諦めない」という答えを出す。負け戦だとわかっていても、美咲を諦めない。


 第25話のコンテは桜井監督。いつものコンテ回より抑制的だと感じられた。それは、演出処理が池端隆史さんや高島大輔さんではなく、佐々木奈奈子さんだということもあるのかもしれないが、陽向にとって重要な(真剣な)回であるため、いつものテンションが抑えられたように思える。真面目にするところは、真面目に締める。


 終わりに気になったことを。

 ずっと飴の包装紙を持っているってかなり気持ち悪いことだと思うんだが、それが陽向だと一途な男なんだなと思ってしまう。陽向ならではの話。



最終話(第26話)「ずるすぎるよ鮎沢、碓氷のアホ!」


 脚本/池田眞美子、コンテ・演出/桜井弘明作監/原修一、総作監/井本由紀。


 最終話ということで、コンテ・演出ともに桜井監督。ハイテンション、文字の多用、脱力感など桜井監督らしい最終話。とろける三バカなど、ギャグも冴えきっている。



 観ていて、小っ恥ずかしくなるほどの美咲と碓氷のラブラブイチャイチャ。二人のために用意された文化祭だなと思った。U×ミシのライブも美咲と碓氷のために用意されたようにさえ思える(手を繋ぐ関係のため)。


 美咲がいつ自分に素直になるのか(我慢をやめる)が最終話の主題。


 美咲の服装が徐々に変化していく。星華高校の制服をきっちりと着ていた美咲だが、碓氷に命じられリボンを外しネックレスを付ける(胸元が開く)。特別招待を受け、美咲は制服を脱ぎ、ドレスに着替える。星華高校の制服は会長である美咲を象徴するものと云えるだろう。OPで星華高校の制服とメイドラテの制服が並置されているカットがあり、それは生徒会長である美咲とメイドの美咲の二重性を端的にあらわすもので、星華高校の制服は会長を象徴するものと捉えられる。制服(会長)という鎧が次第に剥がれていき、最終的に美咲のありのままの姿が剥き出しになる。制服からドレスへの変化により、強気で厳しい生徒会長から、徐々に離れていき、自分に素直な姿(我慢しない姿)へと変容する。


 
 ラストの教室のシーン。ここが結構よかった。カメラの位置が変わる瞬間も的確。背景の煌めきも効果的。花火が何より良かった。第17話「碓氷、敵に回る」で花火が打ち上がっている最中に二人はキスをしようとするが、唇が重なろうとする直前にキスは中断されてしまう。今回は花火が打ち上がっている中、中断されることなく二人はキスをする。最終話にして二人は花火が打ち上がっている中で、キスができた。




 ラストが三バカで終わるのも素晴らしい。




 終わりに気になったことを。

 これなんだろう。


まとめ


 めっちゃくちゃ面白かった。4月期で一番好きな作品でした。毎週放送されるのが楽しみだったな。やっぱ桜井監督のこのテイストが大好きなんだなぁ、自分は。キャラが最高によかった。幸村&叶やさくらとしず子、メイドラテの面々や葵、鮎沢家や陽向や犬山5兄弟などなど、魅力的なキャラが揃っていた。特に三バカ。ギャグキャラとしてピカイチだったなぁ。こいつらがいないと、作品の魅力が半減すると僕は勝手に思っていたり。

 美咲と碓氷のイチャイチャも良かったな。


・・・・


 面白かった回を挙げる。


・第4話「ネットアイドルAOIちゃん」


 脚本/吉田玲子、コンテ/森脇真琴、演出/湖山禎崇作監/滝本祥子総作監/音地正行。

 葵初登場回。前にも書いたけど、あのハイテンションギャグは見事だった。森脇真琴さんホント素晴らしい。一番桜井監督っぽかったように思える(でも、結構違う感じ)。



・第5話「初めてのお留守番」


 脚本/あみやまさはる、コンテ/池端隆史、演出/神保昌登作監/清丸悟、総作監/井本由紀。

 第4話に続き、ギャグがさく裂していて面白かった(ポスターとか)。



・第9話「桃太郎までもメイド様」


 脚本/横谷昌宏、コンテ/高田耕一、演出/徳本善信、作監/平川亜喜雄・李珠榮、総作監/井本由紀。

 番外編。サル・キジ・イヌの三バカ大活躍。もう一回ぐらいこういう回があってもよかったなぁ。



・第13話「バカと不良とヒーローと」


 脚本/横谷昌宏、コンテ・演出/佐々木奈奈子、作監/野村芙沙子・たないあやこ、総作監/井本由紀。

 三バカ回。三バカの過去が掘り下げられて、キャラに深みがでたのだけど、次回にはまったく生かされず。こいつらの過去掘り下げても意味なかったのか・・。



第16話「海の家でもメイドラテ」

 脚本/吉田玲子、コンテ・演出/湖山禎崇作監/赤尾良太郎、総作監/原修一。

第17話「碓氷、敵に回る」

 脚本/あみやまさはる、コンテ/福田道生、演出/徳本善信、作監/平川亜喜雄・李珠榮、総作監/井本由紀。


 海編も素晴らしかった。碓氷と美咲の距離がぐっと縮まった二話だったな。他の男どもに美咲を触れさせないように、動き回る碓氷が可愛かった。碓氷のヤキモチが見所。第17話のラストの海辺シーンも良い。



・第21話「碓氷のライバル? 深谷陽向


 脚本/池田眞美子、コンテ/大久保政雄、演出/神保昌登作監/村司晃英・佐藤敏明、総作監/井本由紀。

 深谷陽向初登場回。この回、めっちゃ面白かった。陽向が最高にいい。深谷陽向というキャラのの魅力が存分に出ていた。美咲と碓氷のやりとりも良い。



・第23話「スイーツ大盛りメイドラテ」


 脚本/あみやまさはる、コンテ・演出/馬引圭、作監/平川亜喜雄・李珠榮・内原茂・北原サトシ、総作監/井本由紀。

 単純に面白かった。感想がない。



・第1話「美咲ちゃんはメイド様!」 

 脚本/池田眞美子、コンテ/桜井弘明、演出/池端隆史作監/原修一、総作監/井本由紀。

・第11話「碓氷拓海の秘密に迫る!」

 脚本/池田眞美子、コンテ/桜井弘明、演出/高島大輔、作監/滝本祥子総作監/井本由紀。

・第20話「副会長は王子様!?/AOIとユカイな仲間たち」

 脚本/あみやまさはる、コンテ/桜井弘明、演出/高島大輔、作監/たないあやこ・滝本祥子総作監/原修一。

・第25話「陽向と美咲と碓氷くん」

・第26話「ずるすぎるよ鮎沢、碓氷のアホ!」


 桜井監督が参加した回はどれも素晴らしい。ハイテンション且つ圧倒的なテンポの良さ。これでもかっていう文字の表現と隙間ないギャグ。そして、心地よい脱力感。見ていて全然飽きない。第11話と第20話は絶対に観て損なし(もちろん、第1話&第25話&第26話もだけど)。一部分を省略し、一部分を過剰にする。それはキャラの省略だったり、文字の過剰さだったり。省略と過剰が作る独特の世界。




 今年一番好きな作品でした(まだ一年終わってないけど)。観てて幸せだったな。