ARIA The ORIGINATION 第12話 その蒼い海と風の中で・・・


今回の話にあたる、原作のNavigation58「遙かなる蒼」では別れと旅立ちがクローズアップされ、読んでいて物悲しかった。しかしアニメ版の話は見ていて気分がいいものだった。


ではなんで、アニメ版は見ていて気が楽だったかというと、別れや旅立ちではなく、灯里の成長をメインに描いていたからだ。


その一つの要素にウッディーと暁が登場したことが大きい。原作での灯里の昇格試験では、灯里とアリシアさんだけが登場し、人が変わっていくことについて話したりして、二人の関係が濃く描かれていた。二人の会話と関係だけを描くことによって、より別れと旅立ちの雰囲気が強調されている内容だった。私にとっては物語の終わりを暗示されたかの様に感じられ、寂しくなってしまったエピソードだった。



しかし、今回のウッディーと暁の昇格試験をめぐる馬鹿騒ぎにより、灯里とアリシアの二人だけの関係性がやんわり中和され、二人の別れではなく灯里の成長の面が押し出されており、見ていて明るい気分になった。他にも、灯里が緊張してベッドでどたばたするシーンはコミカルで心が和んだし、今までの灯里に関わった人達を多く出したのも良かった。



もうひとつ重要なのが、藍華が自分だけプリマに昇格したことを灯里に謝るシーンだ。このシーンは原作の漫画を読んでいた時ちょっと痛々しかった覚えがある。藍華が灯里を置いて、自分だけ前に進んだことに、どこか後ろめたさがあり、灯里に謝ってしまう。でも灯里は全然気にしてなく、藍華を祝福して丸く収まるシーンなのだが、読者にとっては、灯里がみんなにおいてけぼりをくらっていることを強烈に植え付けてしまい、どこか焦燥感にも似た物悲しさをかもしだしてしまっていた。

ところが、アニメではそのシーンがかなり割愛され、灯里の回想だけにとどまっていた。このことにより焦燥感が薄くなり、昇格試験の意味合いが周りからくる焦燥感ではなく、灯里の成長へのステップアップとして大きく変わっていった。


原作の漫画では、変化することに重点を置いていたが、アニメ版では成長することに重点を置いているような気がした。変化と成長は似ているようだが、意味合いが全然違ってくる。最終回をどう描くか楽しみだ。



それと気になったのが、ラストでアリシアさんの女性的で肉厚がある唇がアップされたこと。あれはアリシアさんが普通の大人の女性であることを印象付けて、普通に結婚もしますよということを暗示させていたのかな。それにしても、あの唇はエロいよ。